三話 ページ4
爪に引っかかっていた刀ごと小さい体を生かし姉と壁の間からすり抜け、刀を振るう。
だが、姉も黙ってその刀を受ける事は無かった。
貴「っあ゛あ゛ぁ……っ!」
横腹に爪がかする。それだけでも血がどばどばと出てきて人間にとっては十分に致命傷だった。
それでも刀を止めることなく姉に振り落とす。
迷いはあった。だが刀はAの意思に構うことなく重力に従い、姉の首をに近づいていく。
鬼の洞察力であれば余裕で見切れていたはずだ。
だが、動かなかった。
まるで待っていたかのように刀が首に食い込み、首を断ち切った。
ゴトンっと音を立てて古い床を転がり落ちる。
それを見たAは力が抜けたように、床に倒れこんだ。
ドクン、ドクンと血液が身体中に行き届くように心臓が精一杯動くがもうすでに血は足りない。
全身から冷や汗が吹き出て呼吸がしにくくなる。
指先から徐々に冷たくなっていくのをAは感じていた。
あぁ、私は死ぬのか。なんてことを考えるとともに、姉を殺してしまったという罪悪感により涙が溢れてきて頰を流れて行く。
そして目を閉じようとした時、それは起こった。
姉「ぐぁ゛あ゛…があ゛あが!!」
貴「…!」
絶望……その言葉が一番合うだろう。
目の前で、首の無い姉の体がAのことを襲ってきたのだ。
鬼は特殊な武器か太陽の光でしか殺せない。
その事をAは知るはずもなかった。
このままでは死んでしまう。姉の最初で最後の願いすら叶えてやることが出来なかった。
貴「ご、めん……お…ね…ちゃ……」
爪先がAの首を狙って近づいてくる。
それを感じてその言葉を姉に向かって放ったが、その言葉は聞こえたのだろうか。
声が届く前に、ある人物が姉の体を切り裂いた。
「…その歳にして実の姉の首を切るとは、中々の人材だ。」
貴「だ…れ……」
ぼやける視界の中、必死に顔をその人物に向ける。
男の人だった。
暗い家の中ではその紅い目がよく映える。
「憎いか?私が。」
貴「……ぁ…」
口から覗く犬歯、鋭い爪。
それは恐怖感を煽るはずなのに、その赤い目はAにとって酷く惹きつけられた。
だが、その問いは少しだけ違う。
Aはこの男を憎んでいる。だが、今一番憎く思えるのは。
「それとも…己の弱さか?」
それが一番当てはまっていた。
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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時