二話 ページ3
唸り声をあげ、鬼と成り果てた姉の姿を認識すれば、Aは完全に動けなくなってしまう。
姉の口元から親の血が顎に向かって流れるその光景を唖然と見ていることしかできないAに、姉だった生き物…鬼は視線を移した。
その瞬間、鬼と化した姉はAに飛びついた。
咄嗟にAは近くに放られていた刀を掴み、迫る爪を防ぐ。
勿論、刀を人相手に振るうのは初めてだ。
幼い頃、熊などの猛獣に襲われた時にと小刀の使い方は父から教わっていたが、姉に刃を向けることは出来なかった。
貴「姉さんっ…?どうしたのっ?どこか痛いの?苦しいんだよね?」
姉「ぐう゛う゛ぅう……」
語りかけても苦しそうな声を漏らすだけで刀を押す力がどんどん強くなっていく。
14歳の少女が、殺す事など知らなかった少女が鬼に勝てるはずもない。
ましてや実の姉など……刀が力に負けて折れる、という時、Aの耳にある言葉が届いた。
姉「…ご……じで……」
貴「!?」
頰を涙が流れる中、この声に咄嗟に顔を上げる。
聞きなれた声。
毎日のように笑いあっていた人の声だ。
姉「ごろ…しでぇ゛…」
貴「姉…さん……」
殺して。
確かにそういった。
それにしか聞こえなかった。
顔を見ても何も変わった事はない。
口元から血が流れ出るその姿は恐怖が増すだけだった。
それでも……Aは姉に言われたことに従った。
幼い頃から、Aにとって姉は全てだった。
薬草を取りに行くのも、料理をするときも、お風呂も、全て姉とやってきた。
だから姉の口癖はよく覚えている。
いつも家の周りに咲く紅葉を見ていう事だった。
姉「私はね、この紅葉が、森が、森に住む生き物たちが大好きなの!」
いつもそれを聞いていたからこそ、Aも紅葉を、自然を好きになれた。
それでも、姉がAに何かを求める事は無かった。いつも姉は完璧だったからだ。
そんな姉が初めてAに求めた。殺して…と。
姉「…殺じ…てぇ゛……」
まるでそれしか言えないというように、すがるようにいったその言葉はAの心にすっと入り、今まで爪を受けることしかできなかったAの体を動かした。
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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時