十九話 ページ20
時透「?…何で止めるんですか?」
コテンと首をかしげる時透に宇随は軽く構えながら口を開いた。
宇随「時透……お前お館様の話を聞いてなかったのか?」
時透「勿論聞いていましたよ。この鬼は拘束し、檻に入れている…と。
でも今は入ってない。だから捕らえるんですよ。」
宇随「だからって足を斬る必要はねぇだろ!」
時透「鬼が先にこっちに近づいてきたんです。やられる前にやるのは当たり前でしょう。」
当然だというように淡々と喋る時透に宇随は額に青筋をたてた。
だが、そんな緊迫した状況中で、宇随の後ろにいる蜜璃が声をあげた。
蜜璃「Aちゃん!?どうしたのっ?」
貴「う゛う゛ぅう゛……」
ハッと二人がAと蜜璃がいる方向を見やると、心配して近づいた蜜璃から距離を取っているAの姿が見えた。
Aの顎からは唾液が伝っていた。
宇随「!飢餓症状か!」
貴「ゔゔぅぐう゛……」
鋭い猫のような瞳孔に小さかったツノがどんどん伸びて大きくなっていく。
その姿は、夜でも隠しきれない。
貴「(……駄目……食べてはいけない…)」
慌てる蜜璃と宇随に対して、Aは空腹感を耐える事が精一杯だった。
先程近づいてきた蜜璃を傷つけてしまうかも知れないと咄嗟に片足で後方へ飛んで距離を取ったが、この空腹感が無くなる気配はない。
駄目だとは分かっている。
だが、目の前にいる女性が、男性が、少年が、どうしても美味しそうだと思ってしまうのがAはどうしようもなく悲しかった。
必死に体を自らの腕で抱きしめてこの衝動を抑える。
そんなAに二人は近づく事が出来なかった。
蜜璃「Aちゃん!」
宇随「チビ女…!」
もしも自分が近づきAがこちらを襲ってきたら、刀を振るしかない。
だが、Aを傷付けるなんて…
二人が躊躇し、Aが必死になって飢餓を抑えようとしている時、時透の冷たく小さな声がAの耳に入った。
時透「ほら、やっぱり鬼だ。」
貴「…!」
鬼。
その一言が、Aの心に深く刺さった。
体を硬直させ、顔だけ上にあげて蜜璃の目を見ると、その瞳にはツノが生え、口から牙をのぞかせ、鋭い瞳孔で見つめる化け物が映し出されていた。
自分の家族を襲った者に、自分がなり今にも人を襲おうとしている。
人を傷つけたくない、食いたくない。
その強い思いが、Aを完全に止めた。
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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時