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「...私がやらなきゃ誰がやるの。結局誰かやるに決まってるじゃん」
「大丈夫だよ。ほら、私すばしっこいから。神様の胃の中で精々、遊んであげる」
「...ねぇ、あまつき」
「こっち来て。おいでよ、座って、」
心細い声で僕の名前が聞こえた。
ずっと俯いていたからわからないけれど。
顔を上げたとしても紙に邪魔されてわからないけれど。
きっと彼女の黒真珠には。
透明な水晶が、溜まっている。
「......無理だよ」
絞り出した声は情けないほどに震えていた。
苦く吐き出した音はきっと、その味のまんまAに届いた。
「なんで、「――――――触りたくなるからだよ！！！」」
きっと決壊したであろうその音を自身の声で踏み潰した。
『生け贄となる人間は神に捧げるものであるから』
『決まったその日から、誰も触ってはいけない』
本当なら今すぐ隣に座りたい。...だけど、近づいたら。
小さい頃のように手を握って。僕もAも、何も持たないままで。広い野を駆け抜けて一番高い木を登って。...小さい頃にやった馬鹿すらどうにもこうにもいとおしくって。
やりたくなってしまうから。
きっともう絶対に。出来ないことが確定してしまっているそれを。
Aと歩むはずだった未来を。
夢見て、しまうから。
「いやだ、...いやだよそんなのやめてよ隣に来て、」
Aが首を強く横に振った。風を切る、音...立ち上がる、音、
触れちゃいけない、
踵を返した。
目を強く瞑った。耳から入る音は聞こえないふりをした。長屋の戸を閉めて、駆ける。
会いたい叶わない
ずっと側にいたい叶わない
共に笑っていたい叶わない
守りたい叶わない
叶えてやりたい叶わない
叶えたい叶わない
明日だ。明日だ。明日彼女はいなくなる。世界から見放される。神の元へ。.......何の、ために、
「叶わ、ないッ...........」
吠えた。
とても吠えたとは思えないような声で。この世界の質量には明らかにそぐわないちっぽけな音で。
だけど確かに。頭上に、吠えた。
赤々と照らされる夕日も。ぞっとするほどに、朱く。
Aの瞳を通して見たから、きっと綺麗だと思えたんだ。
それを今更に実感してしまって、狂いそうだった。
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しろもん* - すごく良い作品ばかりで、ひたすら感動していました。私は、最後のお話が好みです。でも、本当にどの作品も素晴らしかったです。 (2020年1月21日 23時) (
レス) id: 36bbb34c6c (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - 涙がボロボロで止まらなかったです。描写もどのお話も素晴らしく、Bバージョンもとても楽しみです。 (2020年1月19日 0時) (レス) id: b204067585 (このIDを非表示/違反報告)
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