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暑い夏の日。
梅雨が終わったというのに、まだ雨が降りそうな雰囲気を醸し出してじめっとしていたその日、体育祭が迫っているということもありみんな忙しくなくしていた。
運動が嫌いが好きかと問われればたぶん嫌い。
でも、運動ができるできないで問われれば私はできる部類に入るのかもしれない。
そのせいか、私はやりたくもない競技に出る羽目になった。
一つは自分自身で選んだ障害物競走ともう一つはやらされることになったブロックごとのリレー。
「A、練習始まるぞ」
「わかった、お茶飲んでからでいい?倒れるわ」
「先に行くぞ」
水筒に入ったお茶を飲み、置いていかれてしまったので少し走って彼の隣に並んだ。他の男子と比べても身長の高い彼と並ぶと、女子の方では身長が高い方の私もとても低くなってしまう。
身長の高いことがコンプレックスになりかけてた頃、彼と並ぶことでそれが消えていった。
「じゃ、始めまーす。」
「え〜っと、紐は箱の中に入ってるからペアで40分まで練習してて下さい。紐切れたりしたら本部にいるので、生徒会にいいにきて下さい」
生徒会の子たちが伝え終わってから、紐をすぐに取りに行く人やペアの子とだらだらと話す人、と分かれ始めた。
私はそらるさんと二人三脚だ。
「練習するだろ?」
「やるけどよ……やっぱ、ペア変えた方が良くない?」
男女でペアを組む。
そうじゃなければ、クリアできない部分があるから。
でも、身長差が出来てしまうから出来るだけ身長の近い人ととなったがペアを組む時に休んでしまった私はそらるさんと組むことになってしまっていた。
「おれお前意外と組むとか絶対に無理なんだけど、あと他のやつらだと身長差あり過ぎると歩幅合わないし」
「そうかもしんないけどさぁ……」
そらるさんと組むと心臓が爆発してしまう……
私がどんだけドキドキしてるか、知らないでしょ
この気持ちがなければ、こんな胸が高鳴ることもない。他のみんなはカレカノ同士でやってる人が多いからイチャラブが多いけれど、そんな関係ではない私らがやっていることがおかしいのだ。
てか、そもそも男女ペアってのがおかしいんだよ……
「A進むぞ」
「え、ちょっ…………まっ」
砂埃がふわりと舞った。
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しろもん* - すごく良い作品ばかりで、ひたすら感動していました。私は、最後のお話が好みです。でも、本当にどの作品も素晴らしかったです。 (2020年1月21日 23時) (レス) id: 36bbb34c6c (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - 涙がボロボロで止まらなかったです。描写もどのお話も素晴らしく、Bバージョンもとても楽しみです。 (2020年1月19日 0時) (レス) id: b204067585 (このIDを非表示/違反報告)
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