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きーんこーんかーんこーん、きーんこーんかーんこーん。
予鈴の半分が鳴り終えた時、ようやく上履きに履き替えたところだった。残りの予鈴の半分の半分が鳴り終えた時に目的の教室のプレートが見え、最後の一節が鳴り終えると共に教室の扉を開けて中へと滑り込んだ。
「よし、せー……」
「ふ、じゃないぞA。授業前に"着席"し終えていない者は遅刻扱いだ。と言いたいところだが、建前だな。よく来たなA。体調はもう大丈夫か」
「はい。ご心配おかけしました、先生。おはようございます」
もうお昼過ぎだぞ。そう言いながら、乗せられた優しいゲンコツが頭から離れていく。同時に、数秒静まり返っていた教室が沸いた。久しぶりに会うクラスメイトたちが、各々私の姓や名を呼ぶ。なんだかアイドルになった気分だ。
挨拶と手振りを返しつつ久しぶりの教室を見渡す。記憶の中の配置と異なっていた。どうやら席替えしたらしい。
そんな中で、一人の生徒が立ち上がった。
「A、ひさしぶり! よかった、身体はもう大丈夫なの? Aの席ここだよ」
「天馬! 久しぶりっ。もう元気だよ、ありがとう」
私の新たな席は天馬の隣であるらしかった。私が着席すると、先生が騒めこうとする生徒たちをなだめるように大きな咳払いをした。
授業が始まる。どよめきは少しずつ静まり、やがて声は先生のものだけに。指定された教科書のページを開くと、記憶よりも数十ページ進んでいた。先生が黒板に向き合っているのを確認してから、天馬が声を潜めて私に話しかけた。
「A、もう部活には来れる?」
数ヶ月寝込んでいた私の体調を心配してくれているような様子だった。もちろん、という意味を込めて頷くと、声を潜めたまま天馬は言った。いつものように濁りのない、まっすぐな視線で私の目を見据えて。
詳細を聞かなくても、話の色は感じ取ることができた。そして私の答えも固まっている。
「大切な話があるんだ。Aにも一緒に戦ってほしいって思ってる」
「もちろんだよ天馬。私もサッカーを守りたい」
「ホントっ? よかったあ!」
「あ、ちょっと、てん……」
「松風ー、前に出てこの問いを解きなさい」
声を潜め忘れた天馬が、肩をすくめて立ち上がる。黒板の前へ進んでいく後ろ姿をじっと見つめた。
よかった。天馬はなにも変わってない。
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見卯*..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……プークスクス← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか!マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい!!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:見卯*..+* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/
作成日時:2022年7月19日 20時