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「……?」
さざ波のように小さな予感が、何かを告げていた。それはきっと視線だった。
曲がり角を曲がった時にそれとなく後ろに視線を向けると、黒いスーツにサングラスをした男と目が合った。耳元には通信機のような小型端末が見える。SPがしていそうな出で立ちだった。その様子は除いて。
瞬間、男は肩を揺らして挙動不審に物陰に隠れた。
……これは、ちょっとよくない。頭の中で警鐘が鳴りはじめた。
おなかの奥からのため息をそっとこぼす。
「そういえば、なのば、ゴホッ、なさんは家どの辺だったっけ」
「だいじょうぶ? 家はあのマンションの近くだよ」
彼女が指さしたマンションは、私の家とも呼べるマンションだった。お互いの家は近い。このまままっすぐ帰るのは、果たして安全なのだろうか。
「でも、どうして急に名字で呼ぼうとするの? キャプテンみたいに名前を忘れる冗談はやめてほしいやんねー」
「そうだよね、ごめん。ええと……」
「黄名子って呼んでよ。いつもみたいに……あ、ほら、今日の試合中に呼んでくれたみたいに!」
「黄名子?」
「うんっ、それがいい」
はじめて知った彼女の名前をもう一度呼んだ。声を潜めながら。
花が咲いているようなその様子を崩させたくはなかった。それでもきっと、相手の目的が見えていない以上、伝えた方が安全だった。
「後ろ、五時の方向。男ひとりが私たちをつけてる。たぶん学校を出た時からずっと」
「! もしかしてエルドラドやんね? それとも、ストーカー……?」
「服はスーツ、耳のあたりに通信機を付けてるのが見えた。エルドラドがどういう組織なのか、私はよく知らないからそれだけでは判断しにくいけど……」
黄名子が首の向きはそのままに、目だけ後ろを見やる。後ろを見る行為は相手へのサインにもなりうることを 黄名子も分かっているみたいだった。
黄名子が目的か、私か、それとも両方か。
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見卯*..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……プークスクス← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか!マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい!!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:見卯*..+* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/
作成日時:2022年7月19日 20時