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「Aとサッカーするのひさしぶりやんね! 風邪はもうへいき? うち、ずっと心配だったんよ」
「あ、ありがとう……?」
「髪切ったの?」
「切ってないよ」
「あれ、気のせいだったかな。ひさしぶりに会えて嬉しいやんね!」
着替えて柔軟をしていると、私の相手を受けてくれた女の子が駆け寄ってきた。私の手を取ってブンブンと効果音がつきそうなくらい豪快に上下にふる。元気そうな子だ。
はやくも所定の位置についた女の子の後を追う前に、髪をきちんと結おうとしていると 神童さんが私を呼びとめた。天馬、剣城、フェイ、信助、錦さんも一緒だった。戦国時代に行っていたというメンバーだ。
「すまないな、体調も聞かず話を進めてしまって」
「いえ、もう全快なので。あの……あの子は新入部員ですか?」
あの女の子に目線を向けると、錦さんを除く五人がどこか戸惑ったような表情を見せた。
お互いの顔、私の顔、女の子の方向、私の顔の順に視線が送られる。妙な間に、髪を結う手も止まる。私はおかしなことでも言ったのだろうか。
謎の沈黙を破ったのはフェイだった。
「Aさんは、あの子のことを知らないの?」
「うん」
「今回の騒動の話を聞くのは、今日が初めてなんだよね」
「うん」
「寝込んでいた時は、ずっと家にいたんだよね」
「うん。それがどうかしたの……あ、もしかして、みなさんがサッカーへの気持ちを忘れていたと言っていたように、私はあの子を忘れてたりしてるのかな」
手のひらに収めていたヘアゴムを落とした。
だとしたら、あの子はなにを思うだろう。久しぶりに会えたと思ったら存在を忘れられていた、なんて。
さっき私自身が、帰ってこれた喜びを噛み締めていたばかりだ。この空間が消えていたら、忘れられていたら……そんな考えだって浮かんだ。
フェイは首を横に振る。
「逆なんだ。彼女は本来ここにいるはずの人物じゃない。タイムパラドックスによる存在だと考えているんだけど……今の話でまた分からなくなってきた。ぼくたちと一緒に戦国時代に行ったわけじゃない君が、彼女を知らないというのもまた不思議な話だ」
「うん……? じゃあ、天馬たちもあの子を知らないってこと?」
五人は頷いた。錦さんは何も気にしていないように見える。神童さんがまた口を開いた。
「だから彼女の実力が見たいんだ」
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見卯*..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……プークスクス← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか!マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい!!! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:見卯*..+* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/
作成日時:2022年7月19日 20時