第167錠 ページ32
しばらく車を走らせて、やっと着いた沖矢さんの家
そういえば元々住んでいるのは蘭ちゃんの幼馴染みの工藤新一くんのはず
工藤くんの正体は私も知ってはいる
2人の関係性は分からないけど、どうして沖矢さんを住ませるのだろう
昴『どうかされましたか?』
沖矢さんに声をかけられたけど、私は何でもないと言う
鍵を開けて中に入ると、相変わらず1人で暮らすには広いお部屋だと思う
先にリビングに案内され、とりあえずソファに座る
スマホを見てみるけど、安室さんからの連絡は何もなかった
それにどこか安心したような悲しいような気持ちになった
昴『お待たせしました、もう遅いので先にお風呂に入られては』
A『そうさせていただきます』
お風呂場に案内されて着替えとタオルを借りて、私はシャワーを浴びる
お湯は温かいのに、指先や心は冷めたまま
A『っ…フっぅぅ…!』
溜まっていた感情が涙として出てきて、私は声を殺して泣いた
分かれ際の安室さんの顔は、鮮明に覚えている
手を伸ばして止めようとしていたけど、それに構わずにいた私
もしあの時安室さんの手を触れていたら
そのぬくもりに触れられたら
A『もぅ、やだ…』
いくら涙を拭いても溢れてくる
この涙と一緒に、安室さんのことを忘れられたいいのに
そんなこと出来っこないのに、そう思うばかりだった
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どれぐらい泣いていただろう
さすがに涙も止まったし、いつまでも入ってる訳にはいかない
体を拭いて着替えて、髪を乾かしリビングへ行く
昴『おかえりなさい、随分長かったですね』
A『っえぇ、色々と考え事してて…』
昴『色々、ですか』
沖矢さんは持ってたグラス置き、私に近付いてきた
私も何だろうと思い顔を向けると、沖矢さんの手が頬に触れてビクッとした
昴『先程より赤いですね、また泣かれたんですね』
A『っ、私だって泣きたくて泣いてた訳じゃないです』
昴『ほぉ、誰かを思って涙する女性は素敵ですよ』
A『っからかわないで下さい!』
私は沖矢さんの手を払い、ソファに座った
それを見て笑う沖矢さんは私にグラスを渡してきた
昴『貴方もどうです?』
A『…飲みます』
普段は仕事もあるから控えてるけど、今日ぐらいいいかな
そう思い私は沖矢さんからお酒の注いでもらう
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作者名:リイナ | 作成日時:2021年11月2日 12時