27 ページ27
Aさんが歩美たちを家まで送ると言うので、俺は博士に連絡して迎えにきてもらうことにした。灰原にも少し言っといてもらった方がいいと思ったからだ。
黄色いビートルが交番の前に止まる。3人の表情は固い。俺が「灰原にももう連絡してあるからな」とさっき言ったからだ。
「は、博士…」
「…は、灰原は？」
「哀ちゃんは…？」
「哀くんなら家で待っておるぞ」
迎えの車に灰原は乗っておらず、ひとまず3人はホッとした様子だった。
「すみません、わざわざ」
「いやいや、いいんじゃよ！」
「よろしくお願いします。歩美ちゃん、またあとでね」
「うん…」
3人は灰原に叱られるのを恐怖しながら、俺たちに見送られ車に乗り込んでいった。
ふと視線を感じてAさんの方をみると、Aさんがこちらを見ていた。彼女が俺を見てくるなんて珍しい、と思っていると、彼女は苦く笑いながら口を開いた。
「哀ちゃんに連絡って…」
「したよ」
Aさんは苦い顔で「そうだよね」と呟いて、蘭の方を見た。
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「ううん！ポアロに戻ろっか」
「うん、お腹すいたね」
ね、コナンくんと俺に声をかけると、自然な流れで手を出してきたAさん。ああ、この人、結構天然だな。と思いながら「うん！」と明るく返事をして手を握れば、彼女はすぐにハッとした表情をしたがもう遅い。ぎゅっと握ってやれば、Aさんは観念した様子で「行こっか」と歩き出した。
「Aちゃん、怒ったことってある？」
「あるけど…」
「本当に！？想像つかない…！」
いつもは歩美と繋がれている手を、今自分が占有していることにどこか嬉しさにも似た感情を覚えたが、実際のところどんな感情なのか俺には分からなかった。ただ、蘭と話している途中途中で、俺を見てにこりと笑うAさんを見上げて思うのは
「…(俺もあいつらのこと言えねえのかもな)」
必ず、犯人を捕まえなければならないということだった。
『きっと、誰かが見つけてくれるよ』
どこか期待に満ちたような、諦めたようなあの言葉が胸に引っかかっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4341人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mikitty(プロフ) - めんたい先輩さん» コメント失礼します。東都も東京もコナンには出てきます。場所は東京、建物などの名称には東都が使われます。例えば、コナンが住んでいるのは東京ですが、東京タワーは東都タワーとなる感じです。その他に考えられる可能性は商標登録です。 (2020年2月12日 2時) (
レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - るみさん» コメント失礼します。東都も東京もコナンには出てきます。場所は東京、建物などの名称には東都が使われます。例えば、コナンが住んでいるのは東京ですが、東京タワーは東都タワーとなる感じです。その他に考えられる可能性は商標登録です。 (2020年2月12日 2時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
めんたい先輩 - るみさん» いえいえ全然！ご指摘ありがとうございます！私自体原作から最近離れてしまっているので知識不足の分際で好き放題書いてるので…申し訳ないです (2019年9月11日 16時) (レス) id: 53be17d8fe (このIDを非表示/違反報告)
るみ - あ、棘のある言い方してすみません。最新刊でも景光は東京の親戚に引き取られたと書いてあるんですけどねえ。原作読まない人ばかりなのでしょうか(笑) (2019年9月11日 15時) (レス) id: 7e2c3c7e2b (このIDを非表示/違反報告)
めんたい先輩 - るみさん» アッやっぱり東京であってるんですか…？最初東京にしてたんですけど、ご指摘受けまして東都にしたんです。不快なお気持ちにさせたようですみません… (2019年9月11日 15時) (レス) id: 53be17d8fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めんたい先輩 | 作成日時：2019年5月7日 0時
