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「お連れしました」
「…入って」
それを合図に重い扉が開く。横からの入れという無言の圧力に耐えかねて足を踏み入れると扉の鍵が締まる音がした。その場で立ち竦んでいると、中から名前を呼ばれる。
さっきのこともあって、会わせる顔がない。一歩一歩踏み締めながら前へ進むと、広い部屋の高級感漂う１人掛けの椅子に座っているギョンスさんがいた。
さっきまでのかっちりした姿と違って、髪は少し乱れ、首も腕もボタンが開いたシャツ姿。ダルそうにため息をつき、視線がこっちに流れてくるその画はあまりに耽美で色づいていた。
「こっちに座って」
ギョンスさんの隣の椅子に、言われるがまま座る。色々な意味で直視できなかった。
「さて…何から言えばいいかな」
肘掛けに肘をついて手を組み、その上に顎をのせる。組んでいる足先は上下に揺れている。
「…悔しいな」
ボソッと呟かれた言葉。意味を汲み取れずにいると、もう一度呟いた。
「僕より先に背中に触れるなんて」
じろっと上目で見られて、目を反らす。今すぐに背中を隠したくなった。ビンタして突き返して悪態をついておきながら結局このドレスを着る卑しいところも出来れば見て欲しくない。
「…僕は確かに、お金を持ってる。生まれたときから裕福だ」
急に何？わざわざ呼び出して嫌味？
「でも苦労をしてないなんて、そんなことない。色々な世界があれば色々な苦労がある。Aさんがしている苦労と僕がしている苦労は中身は違っても苦労は苦労だ」
それとも私は怒られているのだろうか。急に居心地が悪くなって、下を向いた。
でも冷静に考えれば、確かにそうだ。私は、会社を背負うなんていう重責を負うことはないし負うこともできない。それなのにギョンスさんは１つだけじゃなく、グループそのものを取締るという常人には成し得ないことをしてるんだ。それには計り知れないプレッシャーと苦労がつきものだ。
「…すみません。あんなこと言って」
ギョンスさんが私の苦労をわからないように、私もギョンスさんの苦労はわからない。だから否定はしちゃいけない。私だって、否定された気分になって傷ついたんだから。
ギョンスさんは、ふっと笑った。
空気が一気に優しくなった。
「僕が初めてあのパン屋のパンを食べたとき。すごく美味しくて、これには何が特別なものが入ってますかって聞いたの覚えてる？」
ギョンスさんが私の目の前に初めて現れたのは、桜が満開の季節だった。
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こむ(プロフ) - ひなさん» ツイッターですが、してないんです〜！なんだか手に余してしまいそうで……でもそう言っていただけるのならいつか作ってみたいなぁ〜と思いました(*^O^*)その際は是非フォローお願いしますね！！笑 (2018年6月10日 14時) (
レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ひなさん» ひなさま(´；ω；`)めっちゃ嬉しいです〜(´；ω；`)そんな風に言っていただけるとは…ベッキョンお待たせしました！ご期待に添えることはできましたでしょうか(*^^*)？こちらこそ、いつも読んでくださるひなさまが大好きですよぉ〜！本当にありがとうございます！！ (2018年6月10日 14時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ウラツク離れしている作者さんがいる中で、更新してくださるこむさんが大好きです、、！いつもステキなお話ありがとうございます（ ; ; ）質問なのですが、こむさんはツイッターをしていらっしゃったりしますか？お話のアカウントがあればフォローさせて頂きたいです！ (2018年6月6日 18時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - こむさんのお話大好きすぎます（ ; ; ）終わってしまったのが悲しいです、、、（ ; ; ）いつもベッキョンのターンを今か今かと待っていたので、最後にきて本当に嬉しかったです、、！ (2018年6月6日 18時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - さあやさん» コメントありがとうございます！(*ToT)嬉しいです〜！セフンのお話の続き、思ってたのと違うし長い！ってなりそうなんですけどそれでも良いですか…？(´；ω；`) (2018年6月6日 18時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむ
| 作成日時：2018年5月4日 20時
