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「A」
耳元で聞こえて、布団をめくられる。
すぐそこにミンソクの顔があった。
怖いくらいに優しく微笑んでる。だけどそれは嘘っぽい。
「なーにしてんの?」
「……あ…」
「なんでこんなに震えてるの?」
「ミ…ンソク…」
「あの部屋に入った?」
息が止まった。
ミンソクはどうしてなんでもわかっちゃうんだろう。
やっぱり、わたしを研究してたから?
わたしを可愛がってたっぷり甘やかしてくれた、今までの日々はやっぱり、嘘?
「A」
優しい声がする。今度は表情も柔らかくてだいすきなミンソクの顔してた。
「聞かれたことに答えないと」
「ミンソク…わたしのこと」
「なに?」
「っ……ごめんなさいごめんなさい」
「ふふ、なにそれ。俺のこと信じられなくなった?」
「う…っ…」
体を引き寄せてぎゅっと抱き締めてくれた。ミンソクの体は暖かくて優しい。安心する、いい匂い。背中を擦る手だって、嘘だと思えない。なのに頭がピンと糸を張ってるみたいにギリギリの状態。
生と死が隣り合わせであることを身を持って感じる。
それに気付いてるのか、いっぱい唇をくっつけて、尻尾を掴まれて撫でられる。尻尾なんか無くなってしまえって思ったこともあったけど、ミンソクがいつも丁寧に手入れしてくれて、手癖のように触るから大事なものに変わった。
「触り心地のいい尻尾」
「ミンソクがいつも」
「そ。俺がいっつも手入れしてたから」
「…うん」
「殺すなんて思ってたらそんなことしないよ」
「俺はAがだーいすきだよ」
根元から先っぽまでつるんと撫で上げ、優しく微笑み首を傾げる姿は、いつもの優しくてかっこいいミンソクだ。こんなミンソクでずっと居てくれるなら、さっきのこと見なかったことにしたい。ううん、見なかったことにする。
今、心に沸いたひとつの気持ちを封印する。
たくさん勉強して、知恵をつけるとすごく楽しかった。知るって楽しいし自分の中身がずっしり詰まっていく気がした。
でもこの"勉強"では、何も知らないほうがいいこともあるって初めて知った。
知らぬが仏ってこういう意味か。
このことわざからは、付箋紙を剥がそう。
賢くなればなるほど、命は短くなる。
ミンソクのこと、知れば知るほど
「Aは俺のこと、本当に好き?」
end
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こむ(プロフ) - みんさん» みんさん!気づくのが遅くなってしまってすみません(T_T)めちゃめちゃ嬉しいです〜〜!サイコ染みたシウミンですが、私もこういう話が好きで書いてて楽しかったので、楽しんで貰えて何よりですもありがとうございます〜〜! (2019年5月25日 11時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - こちらのシウミン大好物で、何回も読んでしまいます。こういう系、読んでて楽しいです! (2019年5月17日 0時) (レス) id: 4f645da4fc (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ぺとみさん» いつもありがとうございます〜!うわ〜ん、すきです〜ToT.本当はもっと変な終わり方だったんですが途中で私何書いてんのかな?と我に返ってしまい…笑 このシウミンには言ってはいけない言葉がありまして、それを言ったときは…)^3^( やばい編はこれにて終了です!!笑 (2018年4月24日 21時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺとみ(プロフ) - 絶対の絶対の絶対に殺されちゃう〜〜><と思って読んでたので………まぁ殺されなくてよかった?とも思ったりもしましたが………どっちも難しい〜〜〜シウミン怖いからなおさら………><でも相変わらず面白かったです〜!!もっとやばくなります??(笑) (2018年4月16日 23時) (レス) id: 39faf143c2 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ジュンミさん» ジュンミさまに気に入っていただけたみたいで、すごくすごく嬉しいです!!よかったー!!\(^o^)/これからも読んでいただけるように頑張ります〜!ありがとうございます!! (2018年4月14日 13時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむ | 作成日時:2018年3月4日 21時