完璧じゃない男たち#2

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第3話



転けて出来たわたしの怪我と、噛んで血だらけのミンソクの腕には、かさぶたが出来てた。痛そうだねっていうと、もう全然痛くないよって。人間と一緒に生活するのは少し慣れた。


ミンソクはすごくいい人だ。
ご飯くれるし体をきれいにしてくれるし寝るときは暖かくしてくれる。歯も磨いてくれる。


ミンソクはいつもお仕事にいく。ラボってとこに行くらしい。研究者だっていってた。


一緒に過ごす上での約束ごとができた。
１人で家の外にでないこと。人が訪ねてきても出ないこと。触っちゃだめって言われたものは触らないこと。入っちゃだめって言われた部屋には入らないこと。首についた首輪を自分で絶対はずさないこと。聞かれたことにちゃんと答えること。

守らないと追い出すって言われた。


時計を見たらもうすぐ帰ってくる時間だった。8に短い針が刺さったら帰ってくる。玄関先で待ってたら、扉が開いた。


「おかえり！」
「ただいま」
「会いたかった！」
「うん、わかったから退いて。動けないよ」
「アハ」

首にぎゅーっと抱きつくと頭を撫でてくれるから、ついついしちゃう。でもいつもすぐ剥がされる。ご飯を用意するミンソクの周りをずっとついて回って、ご飯はミンソクの足の上に座って食べる。お箸の使い方を特訓中だけど、今日初めて落とさずに食べれた。

「ねぇ！できた！食べたよ！みて！」
「すごいすごい」
「もっと撫でて！」
「はいはい」
「嬉しい！」

バンバン尻尾でミンソクの膝を叩く。でもしたくてしてるわけじゃないからやめてっていわれてもどうしようもない。



「A」

お箸でお豆を掴んで皿に移す特訓をしてたらベッドに寝転んでるミンソクに呼ばれた。読んでいた本を閉じて優しく笑いかけてきたから、お箸もお豆も全部ほっぽってベッドに飛び乗った。


「おいでって言ってないよ？」
「え…え…」
「うーそ。ん」

いつもの腕まくらだ。体を寄せてぎゅっと抱きつくと頭を撫でてくれた。

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