完璧じゃない男たち

: ページ33

.


　その子はチャニョルを受け入れることができるのかな。受け入れられなくてチャニョルが傷ついたりしないかな。反対に私みたいに嫌々じゃなくて、ノリノリで受け入れてたらどうしよう。あまりの楽しさにチャニョルが私を忘れたらどうしよう。


チャニョルが、あの大きな体でその子をぎゅっと抱き締めたらどうしよう。


「…本当に？でも昨日Aさんのことをめちゃくちゃ褒めてましたよ」
「…え？」
「あの、ほら、部長がAさんに酷いこといったじゃないですか」
「……」
「それを撤回して謝れとまで言ってましたよ」
「え…ほんと？」
「ほんとほんと。まあみんな思ってること代弁してくれてアザーッスって感じですね」
「……そ…そんなこと」
「Aさんクールに見えるけど、すごく優しくてお客様第一なことくらいみんな知ってます」


　腕を組んでウンウンと頷く後輩。じっと見てたら目があって、恥ずかしそうに反らされた。


その言葉はお世辞かもしれないけど、今の私にはすごくありがたかった。そして何より、チャニョルが私のことを褒めてくれたという。一緒にいても自分のことを褒めてとばっかり言ってきて滅多に私を褒めたり甘やかしたりしないのに、私がいないところでそんなこと。



「チャニョル、どこかでみた？」
「あー…あ、会議室に入っていくとこ見ましたよ」
「ありがとう」
「15時から使用予定なので気をつけてー」



　腕時計を見ると14:30。今、会議の準備をしているのかもしれない。仕事の邪魔になるかもしれないけど居てもたってもいられなかった。

　



.

last→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す