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chanyeol『磁石』 ページ23

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第1話

 顔よしスタイルよし性格よし。仕事もできて人望も厚い。そんな人が私の恋人になるなんて夢にも思わなかった。周りはとにかく羨ましがった。プライベートなことだと言うのに根掘り葉掘り聞いてくる。

でも私は多くを語らなかった。いや、語れないのだ。


「今日、行っていい?」

 書類を片付けているときに、背後に気配を感じてからすぐに耳元で囁かれる。振り向くとめちゃくちゃ近い距離に、綺麗な顔面がドーン。


「…遅くなるかも」
「全然いい!待ってる。…だから」
「あ、はい」


 手のひらを私に向けてくるので、いつものようにポケットから鍵を渡す。しっかり受けとるとニコーっとかわいく笑った。





 案の定帰るのは遅くなり、もうすでに彼は私の家に帰っていた。すごく会いたいし今から癒されるって思うのに少し気が重い。でももう玄関の目の前にいる。開けるしかない。


「A!おかえりー!」
「ただいま、ごめんやっぱり遅くなっちゃった」
「お疲れさま。でも俺は全然まだ待てる」
「……あ、いい匂いする」
「そう!カレー作ったよ、食べる?」
「うん、お腹すいた」


 甲斐甲斐しくも玄関までお迎えに来てくれて、鞄もコートも全部受け取ってくれる。家に入った瞬間からカレーの匂いがして空腹を促された。

私の彼氏はとにかく尽くしてくれる。同じ会社なのに帰りが遅くなりがちな私に、文句も言わずこうやってご飯まで作ってくれて頭が上がらない。ここまでは。

 ほとんど失敗することがないカレーは、当たり前のように美味しい。具材が少し大きい気がするけどそれもご愛嬌。


「どう?」
「美味しいよ、ありがとう」
「よかった!じゃあ…」
「……今日はどういう感じがいいの?」
「うーん…胸ぐらつかんでほしい…」


 言われた通り、向かいに座るチャニョルの胸ぐらを荒々しく掴んで引き寄せる。そして私から、荒めのキスをする。唇を離すと、ポーッと赤くなった顔で私の目を見つめていた。


「A…」
「なに?」
「もっかいして…」
「さっさと座れ」
「は、はい!」


 軽く突き飛ばし強制的に着席させると、今度は恥ずかしそうに笑ってモジモジした。私は気付かれないようにカレー味のため息をつく。


私に尽くすには訳がある。それはご覧の通り、ご褒美が貰えるからだ。そしてご褒美は、私からするとご褒美と言えないようなもの。そう、チャニョルはMっ気が強いのである。



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設定タグ:レイ , チャニョル , セフン   
作品ジャンル:恋愛
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こむ(プロフ) - ひなさん» 遅くなってスミマセン!コメントありがとうございますー!わーん( ;∀;)嬉しさ爆発です!!続編できるの、時間がかかるかもしれないですが…(*´ω`*)やる気出ました!ありがとうございます! (2018年1月21日 14時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 執事セフンたまんないです!きゅんきゅんがとまりません( ;__;)また続編よみたいです、、! (2018年1月14日 2時) (レス) id: c290ea6bde (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - ジュンミさん» はじめまして!めっちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そんな風に思っていただけるなんて感無量です!いつかお答えできるように進展させようと思います、脳内で! (2017年12月17日 23時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ジュンミ(プロフ) - はじめまして!すごく好きなお話です!!セフン との話長編で読みたいです!!!!! (2017年12月11日 0時) (レス) id: 02379d08bf (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!そのお言葉をいただけることがもうスーパー嬉しいです!! (2017年12月10日 1時) (レス) id: 8ae68e1cd2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こむ | 作成日時:2017年11月21日 0時

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