世界で一番小さな戦争#11

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「ジョンデさんとお嫁さんすごく仲良さそうだよね」



ジョンデさんのお兄さんの結婚式でジョンデさんが言っていたことはとても印象に残っていて、気持ちがわかるが故に心配していたけれど、今朝ご挨拶したときにそんな心配は要らなかったなとほっとした。とても可愛らしくて優しそうな新婦さん。そんな新婦さんを微笑みながら見つめ、いろんなところで気遣う様子に確かな愛を感じたから。



「お二人を素敵な演奏で祝福して差し上げてください」



司会の方にご紹介をされ、余興のために作って貰った舞台に向かう前に、ジョンインが私の背中を軽く押した。



「頑張って！」



そしてジョンインは、今までで一番長く私に仕えてくれている。本来なら大学を卒業して執事が変わるはずだったけど、その働きや私と彼の信頼関係、そして彼が希望して『これからもお嬢様にお仕えさせてください』と父や兄に直々に申し出たことから、今日までずっとふたりでやって来た。


お兄ちゃんが『僕の秘書を辞めるときはそんなこと言わなかったよね』と拗ねていたけど、受け入れてもらえて今がある。一時は敵だと思った人が今や一番の理解者となった。




楽しかった披露宴もお開きになり、出入口で新郎新婦によるお見送りがあった。会場で頂いた花束を持って二人の前に行くと、ジョンデさんと新婦さんが同じように眉を下げて笑った。



「本日は誠におめでとうございます」
「こちらこそ、本日は本当にありがとうございました」
「すごく素敵な演奏でした」



二人はとても仲が良さそうだし、なんだか雰囲気も似ていて本当にお似合い。『俺の奥さんになる人は可哀想だ』なんて全く嘘。とても幸せそうだよ。



「末永くお幸せに」



そして『Aちゃんは好きな人と結婚するんだよ』と言ってくれたジョンデさんが好きな人と結婚できてよかった。



その一方で、私はまだだ。
27歳にもなって婚約者もいない、というのは私が生きる世界では”不思議”らしい。まだですか？と言われるときの『何で？』みたいな大人たちの顔。いっつも『逆に何で？』と心で噛みつきながら笑顔で交わしてる。


というわけで父が再び、見合いをたくさん持ってくるようになった。学生だからという言い訳はもう通用しなくなって、毎回応じてはいるけど毎回お断りしている。ちょっと怒られたりするけど、ジョンインが『それでいいと思います』と認めてくれるから気にしてない。

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