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大きな窓はカーテン全開で、眩しい夕陽が部屋に差し込んでいる。温かいセフンに寄り掛かっていたらうとうとしてきて、いつの間にか眠ってしまった。
次に目を開けたときには部屋は真っ暗で、窓の外では綺麗な夜景が広がっていた。時間を見たら20時近く。貴重な時間を無駄にしてしまったと焦りセフンを見あげると、彼も眠っていた。
忙しい時間の合間を縫って会いに来るのは疲れるだろう。私が動いても起きないくらいぐっすりで、思わず笑みが溢れた。すぐに起こすのは心苦しい。
ベッドに運んであげたいけど現実的に無理。物音を立てないように静かに立ち上がり、寝室から掛け布団を持って来る間に、支えを失った体がソファーに横たわりしっかり腕枕をしていた。起きるつもりのない姿勢に笑いながらそっと布団を掛ける。身を捩ったものの、瞼は開かない。
床に座ってセフンの寝顔を眺めた。いつも涼しい顔をしているセフンだけど、寝顔はとても幼くかわいくてずっと見ていられる。
ちょっとした悪戯心で、無防備なセフンの唇にキスをした。
寝ている間ならどんなに大胆になってもバレないし。……いや、今ならバレたって誰にも咎められないけど、セフンはからかう癖があるから。
そっと唇を離し、顔を見た。
するとセフンの瞼は開いていた。
しっかりと目が合うと口角が上がり唇は弧を描く。
全部バレてるよって顔だ。
「あっ……」
今ので起きた?それとも、ずっと起きてた?
「人が寝てる間に何してんの?」
「……な、なにも」
「なにもしてないって?」
バレてるんだろうけど、頷いておいた。でもセフンがじっと目を見てくるので、気恥ずかしくなって目を逸らす。
そしたらセフンの手が私の顔の方に伸びてきて、指先で頬を撫でる。まるでこっちを見ろと言わんばかりに。まんまと意識を引っ張られて、セフンの綺麗な瞳に視線を戻した。
「そういうのは起きてるときにしてほしい」
「……」
「もったいないから」
指は頬を離れ、大きな手で輪郭をなぞるように撫でられた。優しい目元から注がれ続ける視線からも、低くて優しい声からも、大きくてあったかい手からも、愛されてるって伝わってくる。嫌になるほど。自惚れなんじゃないかって思える余地がない。つまり私は世界で一番の幸せ者だと思う。
「今して」
でもこれは自分の力だけで掴んだ幸せじゃない。周りの人に支えられ、助けられ、運んでもらった幸せだ。それは決して忘れてはいけない。
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです!ありがとうございます (3月8日 19時) (レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー!お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした!そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です;;私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして!コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません;;泣いてもらえるとは…!笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました;;最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)! (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま!お返事がとんでもなく遅くなってすみません;;何度も読み返してくださり本当にありがとうございます!ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむ | 作成日時:2019年10月9日 22時