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もしかしたらセフンからも来ているんじゃないかって少し期待していたけど、やっぱりどこにもない。一気に萎んでしまう心。おめでとうございますって、あの舌足らずな低い声で言って欲しかったな。
ずらりと並ぶお花を見ながらジョンインと話していたらお兄ちゃんが近寄ってきた。ずっと南の島へ行っていて、このお祝いのために一時的に戻ってきてくれたお兄ちゃん、日差しが強いところにいたからか少し肌が黒くなっていた。
「あ、お兄ちゃん」
「たくさん届いてるね。お、ミンソクさんからも?律儀だね」
「いいのにね……南の島で会う?」
「いや、僕はそんなに。父さんは会ってるみたいだけど」
「そうなんだね。もしお会いすることがあればお礼言っておいて」
「もちろん。答辞はうまくいった?」
「うん。ジョンインと練習した甲斐があったよ」
お兄ちゃんはジョンインを見て『ありがとう』と微笑む。そして並んだ花を見て、再び『お。』と目を止める。
「こっちは健気だね」
「え?どれ?」
「なんでもないよ。それはそうと父さんが探してたよ」
「あっ、たぶん挨拶だ。行ってきます」
こうして、大学を卒業して友達との別れをたっぷり惜しんだりゆっくりする暇もなくせかせかと忙しく過ぎていった1日。
帰りの車の中では爆睡して、寝る準備も早く整えた。ベッドの中でスマホを見ているうちに眠ってしまい、次に目を覚ますとすでに朝。いつの間にか寝ちゃったな、と床に落ちていたスマホを拾い上げると非通知から着信があった。
時刻は深夜の一時頃。そういえば前も同じようなことがあったなと履歴を辿っていたらジョンインが起こしに部屋にやってきた。
「起きていらっしゃったのですね。おはようございます」
「おはよう……」
「朝からいかがなさいましたか?」
「ん?ん〜…非通知から電話が」
「……非通知?イタズラでしょうか。心当たりは?」
「全然ない。しかもまた深夜なんだよね」
「どこからか個人情報が漏洩している可能性がありますね。すぐに対処いたします」
「うん、お願い」
「ではご朝食を」
それからすぐに番号を変えてもらい、セキュリティレベルも上げてもらってからは知らない番号や非通知からの着信はなくなったし、私の記憶の中からもそんな出来事は時と共に無くなっていった。
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こむ(プロフ) - 〇〇さん» まさかコメントを頂けるとは思っておらず、大変遅くなってしまいましたがこちらこそ本当にありがとうございます。こうやって感想頂けることで忘れかけていた執筆時の思い出が蘇ってより一層自分にとって大切な作品になりました。本当に嬉しいです!ありがとうございます (3月8日 19時) (レス) id: 65eaa14bbb (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - 作者の方に心の底から感謝を伝えたいです。長編になると話の筋がよれてしまったり途中で終わってしまったりしますが、無駄な話も無くしっかり伏線回収して感情移入しやすい描写を多く入れてくれて、、、プロの小説家さんだ、号泣しました。本当にありがとうございました (10月30日 0時) (レス) @page47 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございますー!お返事遅くなってしまい申し訳ありませんTT一気読みお疲れ様でした!そしてめちゃくちゃ嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。大変恐縮です;;私もこれを漫画で見たい気持ちでいっぱいです(≧∇≦)いつか縁がありますように…笑 (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - EXO_Unicorn1228さん» はじめまして!コメント頂いていたのにお返事遅くなってしまってすみません;;泣いてもらえるとは…!笑 11章という長さになってしまうほど描写に拘ってきて良かったなぁと思いました;;最後までお読み下さり本当にありがとうございました(*^^*)! (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 淡藤さん» 淡藤さま!お返事がとんでもなく遅くなってすみません;;何度も読み返してくださり本当にありがとうございます!ツンで甘いせふん、私の中でもかなりお気に入りのキャラですのでそう言っていただけて超嬉しいです(*^^*)またお見せできたらいいなぁ… (2020年3月30日 15時) (レス) id: fd99a38d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむ | 作成日時:2019年10月9日 22時