世界で一番小さな戦争#11

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感動の再会だというのにくだらない話ばかりしていたら、それを注意するように何かが震える音がした。おそらく着信を知らせるバイブレーションの音。セフンが胸ポケットからスマホを取り出して『失礼します』と断りを入れて電話に出た。何を話しているか聞こえないけど、多分仕事の話。うっすら漏れてくる話し声を聞きながらデザートの最後の一口を口に運ぶ。



セフンは腕時計で時間を確認して『とりあえずその処理でお願い』と言ってから電話を切った。急用のように感じたけど、大丈夫なのかな？



「大丈夫？」
「はい。失礼しました」
「いえいえ」



ふと、執事として側に居てくれたときも同じようなやり取りをしていたのを思い出した。セフンの私用の電話が目立つようになったのは私が南の島旅行から帰ってきてから。つまりセフンの退職願が受理され、お兄ちゃんに引き抜かれたあと。



「……側で働いてくれていたとき、最後の方によく電話掛かってきてたじゃん？あれって今の仕事関係の？」
「ですね。掛け持ち状態だったので、現地常駐のスタッフとは電話でやり取りをしていました」
「あ〜…そういうことだったんだ」



気にしていないようで気になっていたことだったから、何年越しにでも聞けてよかった。それに聞いてしまえば何てことなかった。今となっては、だけど。



「南の島の生活にはもう慣れたの？」
「いや、何年いると思ってるんですか」
「……あ、そっか」



仕事を辞める前に南の島で働くことが決まってたんだもんね。
もう５年以上はそこに身を置いて忙しくしていたら嫌でも慣れるはず。




「……前にね、お兄ちゃんに私はセフンに置いていかれちゃったの？って聞いたことがあったんだけど」
「………」
「そしたらあいつはそんなこと絶対しないって言われた。それからずっと私、いつか会えるんだって思い続けて生きてきたけど正直そんな日は本当に来るのかなって挫けそうな時もあったんだ」




そういう時はジョンインが私のとりとめのない話を聞いてくれてたけど、寂しくなったとき留学先で知り合った優しい人に『僕が抱き締めてあげる』って言われてつい揺れてしまいそうになったこともあった。




「だけど挫けないでよかった」




でも寸前で思い止まって胸を突き飛ばしたし、しっかりジョンインに怒られて『あいつよりいい奴なんか居ません』って言われてその通りだって頷いた。セフンに会う日を諦めちゃだめだって思い直した。

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