世界で一番小さな戦争#11

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そう言うと、さっきまで私を強い口調で慰めてくれていたナミちゃんがふっと息を漏らして眉を寄せた。そしてじんわりと涙を滲ませていく。溢れる嗚咽を手の甲で抑えるナミちゃんの肩を抱くヨシくんが『お前も泣くのかよ』と笑っていた。



「だってぇ〜…」
「Aちゃんと同じこと言ってんな」



まだまだこうして喋っていたいけど、ゆっくりしていられる時間はあまりない。これから色々な方へ卒業のご報告回りと、卒業祝賀会が開かれるから急がなくちゃいけない。ジョンインから『お時間が迫っております』という連絡がついに来てしまい、ナミちゃんから手を離した。



「あの……嫌なんだけど、私はもう行かなきゃいけなくて……」
「そうだ、これから忙しいんだよね？行って！」
「……でも…」
「いいから、ね？生きてればいつでも会えるし」



ナミちゃんの言葉にヨシくんが『そうそう』と頷く。ベッキョンを伺うと、ベッキョンも微笑んで私を追い払うような手の仕草を見せた。



「うん、じゃあ……またね。ありがとう。絶対会おうね。すぐに」



丸筒を両手で強く握りしめ、足を一歩後ろに退いた。三人は笑顔で私を見送ってくれる。じゃあ、って背を向けようとしたとき、ベッキョンに『Aちゃん』と呼ばれた。



「会いに行くね」



笑顔のベッキョンは軽く手を上げ、ふりふりと振る。



「うん！待ってるね」



同じように笑顔を向けて手を振り返し、後ろ髪を強く引かれながらもジョンインが待機している場所に向かって急いだ。



私の青春時代とも言える大学生活が今日、幕を閉じた。





・






祝賀会なんてしなくていいのに、こういう晴れの日は何かと盛大に祝いたがる父。親戚や関係者がたくさん私の卒業を祝いに来てくれた。といっても多分豪華な料理とお酒を目当てに来ているんだと思う。主役であるはずの私はもうくたくただ。



「お嬢様。お花がたくさん届いています」
「あ、見に行きます」



ジョンインに連れて行かれた先には、お祝いの花がずらりと並べられている。よく知ってる名前や知らない名前まで。イーシンからも届いているし、南の島の皆さんや、ミンソクさんからも。グループ会社や、南の島に立ち上げたばかりの企業からも来ていた。



「……ただ卒業しただけなのにこんなにお祝いを……」
「とても大事なお祝いごとですから」
「お祝いしていただけるのは有難いことだけど……」



もっと違うことにお金を使って欲しいと思ってしまう。

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