【銀魂】空から女の子が降ってきました。21

第八百十五訓 ページ9

ぽつり、と声を漏らせば銀時君はすぐに反応してくれる。






『……私さ、思うんだよね。人生って生を受け止める受け皿みたいなモンだよなあって』



銀時「……それ、お前の価値観か？」



『そ。人生が地獄的だと思う度毎回毎回考えていた。皮肉だよね、死んだら地獄に落ちるってのに生きてる状態が地獄的ってさ』






どろり、どろりと受け皿に生という感情が溜まっていく。


喜びや楽しさは受け皿からはするりと直ぐに漏れて落ちていってしまうのに、怒りや憎悪や劣等感はどろどろと受け皿にどんどん溜まっていくんだ。


結局そのせいで受け皿が壊れて、皆死ぬ。そう、考えている。






銀時「人生は地獄よりも地獄的である……か。よく言ったもんだな」



『ほんとにね。私は天国とか信じないタチだがその言葉だけは共感できるよ』



銀時「……地獄は信じてんの？天国は信じてねえのにさ」



『……人生の中で苦しみを感じられない屑がこの世に蔓延っているのも事実だし…そういう奴が地獄に落ちるんじゃないのかな』






ま私は人生こそが本当の地獄だとも思っているのだけど。まあ愉悦があるのも事実だからまだそこまででもないんだろう。






『なんかもうさ、真選組が無くなったら私どうすればいいのかわかんなくなっちゃった。一気に世界が灰色になってつまらないんだ』






はぁ……、とため息を着けば、銀時君は不意に腕を伸ばしてきて。






『……っあ、』



銀時「……かなり泣いたな。お前ェさんにしては珍しいじゃねえの」






するりと真っ赤になってる目元を指先で撫でられた。優しく、優しく。






銀時「今のAはさあ、なーんかふらーっと消えちまいそうで怖ぇんだよな。泣き腫らした目も心配になる。まあお前の泣き顔は可愛いですけどー」



『……っ、』






ぎゅう。って。


暖かい銀時くんの腕の中に、閉じ込められた。逞しい胸板、私をすっぽりと覆ってしまうような体格差。





(……なんて、暖かいんだろう)





また泣いてしまいそうだ。今度は銀時くんのせいで。なんどそんなに君は優しいの。なんでこんなに暖かく抱きしめてくれるの。






『……っ、』



銀時「！……ぉ、おっと？」






私は思わず、縋る様に銀時君を抱き締め返した。胸元に顔を埋めて、温かさにぎゅーっと身体を寄せた。


本人は抱きしめ返してくるのは予想外だったのか驚いてるけど、関係ないし。










ー

第八百十六訓→←第八百十四訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す