第八百十訓 ページ4
トシは私が正気に戻ったのを見たのか、ほっと息を吐いて今まで止めていた車をまた発進し始めた。
『そ、ご……ごめん、私……だってしん、真選組が無くなっちゃう……将ちゃんも真選組もなくなったら私、』
怖い、怖いよ、一人になるんだ、真選組が無くなったらまた、独りになる。一人ってこんなに怖かったっけ。
沖田「あー……無責任に大丈夫だとかは言わねぇが…そうですねィ、仮に真選組っつー組織がなくなっても俺達が死ぬ訳じゃねェ」
『っあ……』
沖田「誰一人アンタを置いてはいかねぇから…勿論、近藤さんも。だからそうびくびくしなさんな。アンタらしくねぇですぜ」
『う、ん。そう、だよね』
確かに、そうだ。呼吸がだんだん落ち着いてくるのは堺にようやく冷静に脳は物事を考え始めた。
よくよく考えてみれば、どんな重罪人でも捕まってからは一日以上は猶予はある。牢の中で罪を悔い改める等の意味もあるからだ。直ぐに殺されることは無い。
(そして、いくら組織を天導衆が壊滅させたいからと言って真選組の他にもきっと沢山の組織がある。私達だけじゃない。なら時間だってかかるし…)
何より末端に至るまで処断するのは中々に困難。喜々にそんな脳力があるとは思えないし、逆にこうやって焦っている方があちらの思うツボだろう。
…………嗚呼、冷静さを欠くのは良くないな。ほんと。考えればすぐ分かる事でも頭が回らなくなる。
『…………ごめん、トシ。総悟。取り乱した…屯所に急ご』
土方「……あァ」
深呼吸をして、冷静になって。通常運転に戻る。だがかと思いきや震える手足。大丈夫だと理性は言っているのに、本能が怖いと叫んでる。
だって屯所だって、大切な思い出が沢山詰まった場所なのだから。
『っ、』
(大丈夫、大丈夫……きっと今、この辛い雨を乗り越えれば……夜明けが、来るから)
ぎゅっ、と手を握り締めれば、私を冷静にさせるためにわざわざ助手席から後部座席へと移動してくれた総悟が上から手を重ねてくれた。
『!』
その優しい手つきに恐る恐ると言った感じで彼を見上げるが、総悟はしらっと窓の外の流れる景色を見ていて。
彼のぶっきらぼうな優しさに、そしてその手の暖かさにまた涙が出そうになって。
『……っ、』
その涙を止めるために、ぎゅっと暖かいその手を握り返した。
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じま。(プロフ) - えええオープンチャット!?入りたい…😭もう遅いかな…、申請送っておきます😭🙏 (3月19日 19時) (レス) @page50 id: 612ca8c02a (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - 夢主なんか嫌いなんすけど。弱くて弱くてもう面白くないですねw (9月25日 20時) (レス) @page24 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
リンリンゴ(プロフ) - 我等のトスィがイケメンすぎて無事に爆死いたしましたよ???覚悟してたけど思った以上にきたわ貴方の文才に感謝感激雨あられ。推しの生きろって名言よね(?)いや、虚、、、見事に想像の斜め上70℃をいったよ。守って登場するとかダークヒーローか貴様は。まじ愛す好き (2022年8月9日 2時) (レス) id: ff84f7ea91 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - リンリンゴさん» 遺して行かんでよろしいwwwwwwww面白いけどwwww今日も無事にって毎日死んでんじゃんそれwありがとうございます(?)wwトッシー楽しみにしててねん!!! (2022年8月9日 1時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
リンリンゴ(プロフ) - 書ける時はここに遺書を遺していこうと思い現在書き留めております。今日も無事に昇天いたしましたことをここにご報告させて頂きます。とーしって何ですか?貴方って人はほんとにかわいいですね??アンタ呼びもツンツン要素多めで愛しいです。次の更新トシ主役だぁぁぁ (2022年8月8日 2時) (レス) @page47 id: ff84f7ea91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年7月5日 20時