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彼の構えるカメラにちらりと目をやる。
見たり逸らしたりしながら、そのレンズの奥から真剣な眼差しを感じていた。
砂浜の上を裸足で歩く。さらさらとした砂の肌触りと温かさが足の裏に伝わる。
私が歩くのに合わせた同じ速度で、私にカメラを向けたまま優太くんは後ろ向きに歩く。
「うぉっ、」
瞬間、何かに躓いた優太くんがバランスを崩してそのまま盛大に尻餅をついた。
「…ぷっ、あはは」
笑ったりしちゃだめだ。
でも、笑ってしまう。
構えていたカメラを外して優太くんが私を見る。
「あは、いや、ごめん。ふふっ、あはは！」
だって、さっきまであんなにも別人みたいに真剣な優太くんに撮られることに緊張しきっていたから。
その糸が切れて気が抜けて、やっぱり優太くんは優太くんだと思って、何だか無性に安心した。
止むことなく笑い続ける私を見て、優太くんも口角を上げる。
そうしてまたすぐに煽り気味にカメラを構えると、砂浜に腰掛けたままシャッターを切った。
「えっえっ撮るの？今？」
「うん撮る。いいねぇAちゃん、いいよ〜」
どうして急に怪しいカメラマンみたいな口調になるんだろうと思うとまたおかしくて笑う。
表情を繕うような準備なんて少しもできていない私の素の笑い顔を、何枚も優太くんがカメラに収める。
あぁ、今の変な口調はわざとかもしれない。
私の緊張を和らげようとしてくれているんだろうか。
そう思うと、何だか少しだけ楽しい気持ちになってきた。
座ったままの優太くんにくるりと背を向けて波打ち際に足を進める。
時々振り返りながら、膝が浸かるくらいまで波の中を歩いていく私を追ってきた優太くんは、自分がスニーカーを履いていることも忘れてそのまま足先を波に濡らす。
「げっ」と大きく声を上げたのが面白くって私はまた遠慮なく笑いだす。
「ひっでー！」
「あはは！いやだってもー、気付くでしょ普通！」
「今Aがなんかすげー挑発的な目してたから、撮んなきゃって夢中だったんだよ」
挑発的な目ってなんだろう。
私、そんな目をしたことなんて今まであっただろうか。
「どんだけ悪い顔してたか後で見せてやる」
そう言って笑って、優太くんの表情はすぐにまた真剣なものに切り替わる。
それに対して怖気づいたり緊張したりなんてことはもうなかった。
私はたまにレンズを見据えたり、反対にその存在を忘れかけたり、優太くんの言うことすることに笑ったり、笑わなかったりする。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
