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勇太くんの考えたことは分かる。
私だって同じように思うことがある。
賢い彼だから宮司なんて職業以外にも道はあっただろうし、本当は私と出会う前には既に違う将来を考えていたのかもしれない。
こんなに優しくて格好いいんだから、私よりも綺麗な大人の女の人と恋をして結婚する未来だってあっただろう。
だけど私がそんなことを考えるのは、こうして私たちのために、私たちの家のために、できる限り良い関係を築こうと努めてくれている彼に対して失礼なことだと思うのだ。
だからせめて私は彼がつくってくれるこの時間を、何と呼べばいいのかわからないこの時間をただ楽しむだけだ。
何と呼べばいいのか分からない、勇太くんとの時間。
デート、と言っていいんだろうか。
彼はデート以外の何でもないような振る舞いをしてくれていた。
「ねえ、これありがとう。本当にすごく、すっごく素敵」
誕生日当日に届けてくれた、ダイヤのネックレス。
昨晩すぐに電話でお礼は言ったけれど、改めてそう伝えると、空気の中に少しだけ存在した淀みが一瞬で晴れるような微笑みを勇太くんがくれる。
「気に入ってくれたならよかった」
「気に入らないわけがないよ！もう、私にはもったいないくらい」
「そんなことないよ、似合ってる。綺麗だよ」
綺麗。
そう言いながらの彼の穏やかな眼差しに、ドキッとした。
そうして、ふと、同じようにネックレスを褒められた数時間前の夜明けのことを思いだした。
『キレーだなって思ってずっと見てた』
そう言った時の優太くんの視線の温度。
鎖骨に触れられたときの、あの感覚を。
勇太くんは、優太くんみたいに突然私に触れたりしない。
けれど口にしてくれる言葉が嘘でないということは、その眼差しだけでいつも十分に伝えてくれていた。
お互いのカップの中身もなくなって店を出ることにする。
この後はまた電車に乗って、三駅先にあるショッピングモールで映画を見る予定だった。
勇太くんは先にドアを開けて待っていてくれる。
「おいしかったね」
お礼を言って、そうだねと返した。
涼しかった店内から一歩踏み出せば、外の熱気が体を包んだ。来た時よりも日が高くなっている。
勇太くんは、私に触れたりしない。
思えば彼とは手をつないだことすらない。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
