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家中の電気が消え、暫くした頃を見計らって動き出す。
衣擦れの音すら立てない程に注意を払いながら、一階物置部屋の窓を開けてそこから裏庭に出た。
帰ってくるときもここから家の中に入るつもりだけれど、外からでは少し窓の位置が高いからうまく上れるかが心配だ。
けれどまぁ、それはその時に考えればいい、と思った。
18歳になるその時に、やりたいと思った冒険がふたつあった。
ひとつは、菫ちゃんの事務所に履歴書を送ること。
もうひとつは、知らない世界を自分の目で覗いてみること。
島のはずれ、西側の海岸線沿い、アスファルトのない砂利道を進んでいった先の突端に怪しげなバーがあった。
一見バーと呼んでいいのかも分からない、粗いつくりの古い一軒家を補修しただけのような場所だったが、噂によれば横文字のお酒ばかりしか置いていないということだから、それはきっとバーなのだ。少なくともこの島では一番バーに近い何かである。
5年ほど前にできたそこは、島の外から来たひどく風変わりなおじさんが経営しているという。
髪を肩まで伸ばし、夜でもサングラスをして、どこの国のものか分からない言葉の歌をいつも口ずさんでいる、変わり者。
島の中でも同じく変わり者だけが行くところとして、“あれは近寄ってはいけない場所”という共通認識が島中に浸透していた。
今日まで私も、大人たちからだめと言われるままその言いつけを守ってきた。
何でも知っているこの島の、唯一何にも知らない場所。
だから、そこへ行こうと思った。
だって特別な18歳の誕生日だ。
特別なことをしてみたい。
噂でしか知らないおかしなおじさんの正体だってこの目で見てみたいし、お酒という謎ばかりの大人の飲みものだって飲んでみたい。
小さな世界に住む私の、細やかな冒険。
今日だけ。たった一度だけ。
それが終われば、また変わらない平穏な毎日に戻るんだから。
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こむぎ(プロフ) - sarusukiさん» 2はフラグが立ってるので、問題ないようであればご自身で設定をお願いします！ (2018年6月17日 18時) (
レス) id: c18b3d0fe1 (このIDを非表示/違反報告)
sarusuki(プロフ) - パート2の方が見られなくなってしまいました！！見られるようになりませんか？涙 (2018年6月17日 17時) (レス) id: bd649719ef (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます！この話は書きたい描写が多すぎるので、できるだけくどくならないように気をつけたいと思ってました…！多分まだまだ続くのでこれからもお付き合い頂けると嬉しいです〜！ (2018年5月20日 16時) (レス) id: ae12cda8c1 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - こむぎさんの書くお話大好きです！！諄くない、綺麗な文章を書く方だなぁ、といつも思ってます。これからも更新楽しみにしてます！ (2018年5月17日 13時) (レス) id: 5d99fecd0e (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ(プロフ) - ゆりーるさん» わーいありがとうございます！3人のもともとの強すぎる個性を殺さないようにキャラ作れたらなぁと思ってるのでそう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです〜！これからもよろしくおねがいします！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 599e963edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2018年1月3日 11時
