baby I love you

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Aの手を引っ張り、リビングに連れて行く。テレビの前で無理やり膝の上に乗せて抱え込み、HDDの中にあった自分の出ている歌番組を再生した。



「これ俺の仕事」
「…、しってる」
「今も応援してくれる人がたくさんいて、それなりにうまくいってるんだけど、今よりももっといろんな仕事をして、もっと大きいことをやって、もっとたくさんの人に見てもらえるようになるのが俺の夢なの」
「うん、」
「夢っていうか、そうなるから。ちゃんと。絶対そうなる。俺はお前と一緒に暮らしてても、毎日顔をつき合わせて飯食っても、同じベッドで寝ても絶対にそうなる。もちろん毎日元気で健康でいるし、90くらいまでは生きる予定だ。今も十分幸せだけど、俺はもっともっと幸せになる」



振り返ってAが見上げる。言っていること、分かるだろうか。分かるよな。きっと。



「だから見てろ。見てりゃ分かる。つまんないこと考えんな」



しばらく固まっていたAの見上げる瞳の中に水分が溢れて、それから涙腺が決壊したようにぼろぼろと涙を零した。次第にしゃくりあげ始め、わんわんと泣きじゃくるAを胸に抱く。子どもをあやしたことなんてなくて、力加減とかいろんなことがよく分からなかったけれど、自分にできる限りの優しさでその背中を叩いた。



その日の夜は、嫌がるAを無理やり俺のベッドに連れ込んで一緒に寝た。

初めて隣で見る寝顔に、当たり前だけど小さくて弱い生き物だと思う。そうして、これから先自分はこの小さくて弱い生き物を守って生きていくのだと思った。さっき大口を叩いてAに約束したことを、きちんと実現しなければいけない。この子を幸せにしなければいけないし、そのためには俺自身が絶対に絶対に、幸せにならなければいけない。

寝て起きて、明日の朝食はAが何と言おうと一緒に食わせる。それを食べてAを学校へ送り出して、俺も高校へ行って、夕方からの番組収録は他の誰よりも頑張ろうと、そう心に決めた。






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