＊大橋くんと信じる気持ち ページ17
ちろ様リクエスト 大橋side
『大橋くんと信じる気持ち』
突然起こった話じゃない。片鱗は元からあった。
障害者が足手まといなのは、ある意味普通だ。
足手まといで面倒だから何となく当たりも強い。
ただ雰囲気だけのそれを具体化してしまう決定的な地雷に僕が触れてしまった、そういうことだ。
「あの、大橋くん…」
「何？」
「えっと、お願いがあるんやけど…」
「うん」
「皆で寄せ書き作ってるから書いてほしいねん。これもう大橋くんが最後やからゆっくり書いて？その、時間かかっても今日中なら大丈夫やから」
「ああうん、分かった」
こういうの、僕への配慮というか皆に迷惑が掛からない対策というか、助かる反面ちょっと複雑。
言いづらそうな前置きと気を遣うような言葉と、比較的大人しい女子が周りに押し出されるような格好で僕の席へ来たのはそれだったかと察する。
「書けたけど、これで良い？」
「あ、もう？早かったね。ありがとう」
渡した相手の表情で分かった。やらかしたって。
笑ってる人もいれば引いたような表情の人も。
実際予想は的中していて、地雷の爆発が始まる。
「…何」
「分かってるよな、誰かにチクったら」
休み時間に席を外した隙、戻るとそう言われた。
見れば机に鉛筆で大量の落書きがされていて。
適当な漢字を読み方で繋げた悪口、僕が読めないとでも思って揶揄しているんだろうけど生憎様。
このとき生憎なのは向こうか僕かどっちだろう、なんて考えながら消しゴムを机の上で動かした。
「っ…」
あれから１週間、相変わらず続く落書きの数々。
休み時間にふと寄越される蔑みと憐れみの視線。
元々は机の落書きを誰かが来る前に消そうと一番乗りで学校に来ていたのが、月日が経つにつれて誰かのいる教室に入ること自体怖くなっていた。
先に人の目を捉えないと不安で仕方がないのだ。
「うわ…ヤバ…」
特支教室さえ怖くなった僕はこっちも一番乗りで行くようにしてたけど、今日は遅れてしまって。
皆で楽しそうに喋ってる、でもその目がこっちを向いた瞬間に同じ目をしてくれるとは限らない。
怖い、怖い。なんとか静かに入らないと怖い＿＿
そう思っていたのに、軽く手を掛けていたドアが急にガタッと物音を立てて気付かれてしまった。
「あ、大橋や」
「っ！！」
丈くんの声が聞こえた瞬間フラッシュバックする教室の光景、一斉に降りかかる視線が、気配が、自分の全感覚を恐怖で埋め尽くしていくように。
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y - MOON NIGHTさん» こちらこそ完結までお読み下さいまして誠にありがとうございました。読者様に支えて頂いた部分は凄く大きかったですし、ほっと心が温まるようなお話を通して私の伝えたかったことや自分の心そのものを整理できたので良かったと思います。長らく御世話になりました。 (2018年1月24日 14時) (
レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 完結お疲れ様です。ステキなお話ありがとうございました。作者様の書く文章が大好きです。何か、こう、温かさを感じていました。本当に素晴らしいお話をありがとうございます。 (2018年1月23日 23時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - MOON NIGHTさん» こちらこそリクエストして頂きまして誠にありがとうございました。色々なお褒めの言葉、嬉しい限りです。これからも本作品をよろしくお願い致します。 (2017年11月14日 7時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - リクエストお応えいただいてありがとうございました！やはり作者様の書かれる文章がとても好きだなあと改めて感じました。心情表現というか人との関わりの表現だったりストーリーそのものが大好きです。続きのお話も楽しみにしております。 (2017年11月13日 18時) (レス) id: 38dd7cb8aa (このIDを非表示/違反報告)
y - さちお。さん» ２度目のコメント＆リクエストありがとうございます。朝田くんは毎年校外学習に行っていない設定なので特支教室メンバーでの学校訪問だったり見学などといった形になると思います。他に細かい希望があれば後からでもコメントして下さい。 (2017年10月28日 8時) (レス) id: cd7f25b263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：y | 作成日時：2017年8月20日 12時
