◆ 第一章 【ホロコースト・シャングリラ】 ページ17
殺し合い開始当日。午前7時頃、ジリリリッとけたたましくベルの鳴り響く音が、スピーカーを通して聞こえてくる。かなりの大音量で下手したら鼓膜が破れるほど大きい音で鳴っていた。いっせいに起きた18人は、目の前の光景を疑った。そこは、宿泊所にある部屋ではなく、人が入れるサイズの卵型の機械がずらりと並び、コンセントのコードがその辺につながっていたりと、近未来的な部屋で目が覚めたからである。
そして、ゲームマスターであろう人物の声が聞こえる。相変わらず、感情のこもっていない声だ。
「皆サマ、おはようございます、そして、アバターの登録のご協力ありがとうございました。コロシアムへようこそ。本日よりコロシアム "第一ゲーム" が開始されます。」
気づかないうちに移動させられていた事実にも驚きが隠せないが、第一ゲームという言葉にも耳を疑った。説明を求めると、どうやら第一ゲーム、第二ゲーム、第三ゲームの3回に分かれてゲームをするらしく、今回は第一ゲームということらしかった。それはつまり、3回も殺し合いをしなければいけないということでもある。
「ダメだ、開かねぇ……!!」
がちゃがちゃとドアノブを捻る立花樹だが、コロシアム内の部屋は鍵がかかっており外に出ることはできなかった。
「内側でも、鍵がなきゃ開かないようになってる……」
青ざめた顔で、水無月桃弥は呟いた。そう、ここにつれてこられてしまった以上、やらなければいけないのである。
「わ、私たちが一致団結すれば、きっとあの人も諦めてくれるよ」
「せや、あんなやつの言うことなんか聞かなければええねん」
天音紅羽の言葉に京雪が同調する。ただし、天音紅羽はもちろんゲームを開始したら真っ先に作戦を練りに練って殺しに行こうと考えているのだが。録音された声で放送しているであろうゲームマスターは、18人の会話が聞こえるはずもなく、そのまま話を続ける。
「それでは皆サマ、小型タブレットの番号と同じ席にどうぞお座りください」
卵型の機械には椅子が備え付けられている。そこに座れ、ということだろう。仕方なく、皆椅子に座る。座らないと、一生この部屋で過ごすことになり、餓死する未来が、なんとなく見えたのだ。椅子の肘置き部分には、小型タブレットを置くように指示されているため、指示通りに置く。最後の1人が置くと、卵型の機械の入り口は閉じてしまった。戸惑う中、睡魔が突如襲い掛かり、1人、また1人と意識を落としていた――。
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作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/utahakiku08/ 作成日時:2019年7月7日 14時