亜麻色に色づいて(亜麻都) ページ9
青空が広がる休日の午後。
多くの人で
『ねぇ、
そう言って隣を歩くのは幼馴染みのA。
綺麗な亜麻色の長髪が、つばの大きな麦わら帽子の下から覗いている。
「さっき昼食をとってお腹はいっぱいだし、とりあえずぶらぶら歩こうか」
『そうだね。色々見て回ろう』
Aはそう言うと、僕の手を引いて歩き出した。
僕に向けられるその明るい笑顔に、自然と笑顔がこぼれた。
どのくらい歩いただろうか。
しばらくお店を見て歩いていると、突然広大な土地が現れた。
『わぁ……!綺麗!』
いつの間にか街外れの方にまで来ていたようだ。
辺り一面には、綺麗な黄色いひまわりの花が咲き
そんな景色に、Aはキラキラと目を輝かせていた。
「この街にこんな場所があったなんて……」
僕も思わず感嘆の声を漏らす。
青い空に黄色いひまわりがよく
さっきまで街にいたとは思えないほどの自然に囲まれ、言葉を失った。
そんな僕とは裏腹に、Aは真っ先にひまわり畑の中へと飛び込んでいく。
「あっ!ちょっと待て、A!」
そう叫んだ時には、すでに彼女の姿はひまわりの奥へと消えていた。
僕は慌ててAの後を追った。
「A〜?どこ〜?」
辺り一面ひまわりばかりで、Aの姿は見当たらない。
どこに行ったんだろうと心配になってきたときだった。
不意に後ろから誰かに抱きつかれた。
「わぁっ!」
びっくりして固まっていると、後ろからクスクスと笑う声が聞こえる。
後ろを振り返れば、いたずらっぽく笑うAがそこにいた。
「A〜?」
『びっくりした?ついやりたくなっちゃって……ごめんね!』
先程から僕の鼓動が速いのは、きっと驚いたからだけではないのだろう。
「よくもやったな!待てー!」
『わー!』
逃げる彼女を後ろから僕が追いかける。
走るたびに彼女の亜麻色の髪が左右に揺れ、夏の日差しを反射させる。
まるで黄金のように美しく輝くその髪は、とても神秘的に見えた。
僕らはしばらく子どものように辺りを走り回っていた。
*
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ