palette【オリジナル合作】 (ページ36)

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次の日。眠れずに頭が痛くてフラフラしながらリビングに向かう。途中洗面台で見た鏡に映る自分は、目の下にできた黒いくまと赤く腫れた目で酷い顔をしていた。
昨日の深夜、君のお父さんが訪ねてきたらしい。君の部屋の整理をしていたら、私宛の手紙が置いてあったらしいからとのことで。どんだけ辛くたって前を向かなきゃ行けないから、って疲れた顔で力なく笑った顔が、まだ頭から離れないってお母さんが言っていた。

手紙を受け取ってまた部屋に戻る。座って読む気分になれず、ベッドに寝転んで手紙を読み始めた。手紙には今まで楽しかったこととか、私とやりたかったことが書いてある。読んでいたら懐かしい気持ちになり、少し微笑んだ。

『君には感謝してもしきれないよ。俺、昔は泣き虫だったろ？でも君はそんな俺とも一緒にいてくれた。俺が死んだら君はきっと立ち直れないと思う。だって見た目に反して脆いんだから。だから辛くなったら虹を見てくれよ。俺の名前にある虹。それでさ、勇気出して、元気だして頑張れ！』

最後にそう書いてあって、ぶわっと涙が溢れる。私のことを知っていて、私のことを大切に思ってくれていることが、嫌でもわかったから。君が大変でも私を思ってくれるその優しさとか、お節介さが。忘れないよ。絶対に君のことを忘れない。

◇

それからお通夜を済ませ、またいつも通りの日常が始まる。君が出るはずだった試合も、見に行った。君の背番号は、君の大親友が背中に背負っていた。ベンチにはユニフォームを着た君の写真が置いてある。その試合は結局負けてしまったけれど、部員は晴れ晴れとした顔をしていた。
その後君の好物だった、近所のケーキ屋のマフィンを買いに行った。チョコとプレーンを1つずつ買う。君はいつもチョコを食べてたっけ。そう考えながらプレーンのマフィンをゆっくり食べる。

チョコのマフィンを持って君の家に向かう。途中雨が降り始めて、走っていった。チャイムを鳴らして、君のお母さんに挨拶をして、君と向き合う。額の中の君は花が咲いたみたいな笑顔だ。

｢絶対に君のことは、忘れないから｣

今日のことを伝えて忘れないって誓ってから、マフィンをそなえて君の家を出る。雨が止んだ空には大きな虹がかかっていた。

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