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「ずっと諦めていたの。もう生贄になるって決まったらどうしようもないんだってさ。もともと私が生まれた時から決まってたみたいで・・。ならもうそれが当たり前として生きていくしかないんだなって、そう思ってた。でもやっぱりどこかで止めてほしいとも思ってたんだと思う」
そして、顔を上げて満面の笑みで言ったのだ。
「だから、ありがと」
一気に体中の疲れが吹き飛んでいくような気がした。雅姫が笑ってくれるなら、それでいい。心の底からそう思えた。
ふいに目の端に何かが映った。雪のように白く、どこか青みがかっているそれは僕の肩にも乗っかっていた。
「これ・・」
どうやら空から降ってきているらしいそれを見て、その正体に気付く。
「灰、かな」
「みたいね。とうとうこの島にも灰が積もっちゃうみたい」
雅姫の言う通り、灰はものすごいスピードで降り始めた。この島が埋もれてしまうのも時間の問題かもしれない。

「どーするの、これから」
雅姫が肩をすくめてそう言った。
「どーするって・・逃げるしかないよね」
「そうだけどさ、」
雅姫は何か言いかけたところで口を止める。そして妙案を思いついたかのようにニヤリと笑った。
「じゃあさ、死んじゃったってことにすればいいんだよ」
「し、死んじゃった!?意味がわかっ、ゲホ、ッゴフ」
灰が急に器官に入ってきたものだからむせてしまう。その原因を作った相手に非難の目を向けた。すると、雅姫は灰の積もった地面に体を投げ出す。
「私たちは灰の海に溺れて、この村で死んだの。だから、今いる私たちは生まれ変わったんだよ」
その主張に目を白黒させる。急にそんなファンタジーなことを言われても上手く理解することが出来ない。
雅姫はにこりと笑ったのち、注釈を入れた。
「この島の外に、私のおばあちゃんが住んでるの。だから、そこに行こうかって」
「島の、外に・・?」
「そう。私のおばあちゃんはとてもおてんばな人でいろいろやらかしていたらしいのだけれど、最終的にこの村を捨てて外の世界に出ていったんだって」
「どうやって?」
「自力でいかだを作って、よ」
確かに自力でいかだを作ってこの島から離れるなんて相当お茶目じゃないとできないだろう。・・とはいえ、そのおばあちゃんがどこにいるのかはしっているのだろうか?
「大丈夫。私のカヤックを使えばいいわ。それにおばあちゃんの場所なら、知ってるの」

・(+あとがき)→←・



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作者名:8人の小説家 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年6月3日 18時

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