10年経っても愛してる【不動明王】part３

私の馬鹿 ページ30

「ﾊﾊｯ 残念だなー…でも、それがちゃんとAが選んで出してくれた答えなら…今度こそ諦めるよ」


「風丸…本当にごめんなさい! 風丸の事が嫌いだからとかじゃないんだよ! 風丸には昔からたくさんお世話になってて、いろんな話を聞いてもらって、本当に…本当に大好きなの!」



「そんなに慌てて言わなくても大丈夫、わかってるさ

Aが俺に向けてる好意はライクから来るもので、友情として俺の事を好きでいてくれてるんだろ?俺はそれでも十分に嬉しいよ」



「風丸……」






彼は、どこまで大人なんだろうか

自分の恋が破れても泣いたり、怒ったりしてこない



寧ろ私の事を気遣ってくれている



……本当によくできた人だ






「なぁ」


「ん…?」


「厚かましいかもしれないけどさ、これからも……今までどおりでいてもいいのか?」



「そんなの当り前だよ!こんな事で崩れるような関係だなんて私、これっぽちも思ってないけど!!


……だからこれまでどおりで居ようよ」





自分が風丸にとって残酷な事を言っているのはわかってる


10年も好きだった事をそう簡単に諦められるはずがないのに、なのに昔と同じようにしていようだなんて


私だったら耐えられない



でも




(風丸の方からそう言ってくれたんだ)




もしかしたら私を気遣って無理に出た言葉かもしれない……けど、無理だったら後からなんだってする


風丸がしばらく距離をあけたいと言えば、連絡だって風丸から来るまで一切取らないつもりだ







「A……ありがとう、最後に一つ我儘言っていいか?」


「我儘?」




「抱きしめてもいいかな」



「ぇ?」




「気持ちに踏ん切りをつけるために、最後にしておきたいんだ。もう…中学の時みたいな後悔はしたくない

あの時俺があそこでAに触れていたら、今もこんなに引きずって無かったかもしれないから」



「!!」





ふと風丸と目があって、初めて風丸が傷ついている表情が瞳に映った


その瞬間全部わかった気がした


どおりで私と風丸が今まで視線が合わなかったワケだ





私も、風丸も





「…いいよ、それぐらいなら」


「ありがとう」





お互いがお互いに視線を合わせようとしなかったんだ


そりゃぁ合うわけがないよ








「―…"大好きだったよ"、A」








耳元で囁かれたその声は小さく、そして掠れていて





(……あー私ってば馬鹿だな、辛くない人なんかいないよね)







…泣いているのがわかった

当たり前の事だけど→←友情だ

• 金　運: ★☆☆☆☆
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