10年経っても愛してる【不動明王】part３

揺るぎない ページ25

さっき神童くんに言われたばかりじゃないか





「お前は優しい奴だからな、昔お前の事を好きだった男がこうして今自分に交際などを求めてきたら断れないんだろ

例え好きじゃなくても、お前なら付き合いかねん」



「うっ」



「でもその行為が時に人を傷つけるという事も知っておけ、中には白黒はっきりつけなきゃいけないことがある。そうなったとき、お前のその優しさは自分の陥れる事にもなりかねない凶器になる

俺はお前にそんな風になってほしくない


寧ろお前ほど人の事を思える奴はこの世にいないと思っている、だから俺はお前には幸せになってほしいんだ」



「鬼道……」




まさかそんな風に私の事を考えてくれていたなんて、思ってなかった






「10年前の事は悪かったな…」


「え?」



「今思えば俺達があそこで手を貸していれば、お前達は今も隣で笑い合えていたのかもしれない…そう思うと俺達は悪い事をした」



「そんな…きっと鬼道たちが手を貸してくれても、私と明王は別れていたと思うよ?主の原因は私で
だから、本当に10年前の事は気にしないで」




「ありがとう……それで、ある程度心は決まったのか?」



「…うん、でもなんだか都合のいい女かなって思われそうで」


「それは好きな相手が出来た、っと捉えていいのか?」




「……鬼道に話す前に自分で話をまとめておくって言ってたでしょ?あの時に自分の本音をちゃんと確認したの。

私があの時明王の告白を断ったのは、風丸とヒロトとの間の事を知られるのが怖かったから…その２人の事について知られて嫌われるのが怖かったの

なんかたぶらかしてるように見られないかなって…あともう一つの理由は単純にあの２人を見放すなんてことできなかったってところ」




「ほぉ」




「私何回か明王と…その、寝たんだけど…その時にね、眠ってから目が覚めて…ふと隣に目をやったとき、そこに明王がいて"幸せだな"ってそう思ったの

こんな日が毎日続いて欲しいなって」




「じゃぁ、もう決めたんだな?」




「うん、人生は常に選択肢に迫られている…私はその選択肢からずっと逃げてきた


でももう逃げないよ、ちゃんと手に入れたい人が出来たから
大切な友達を失うことになっても……私はもう、"明王を"失いなくない



ちゃんと本音と向かいあって気づいたから



私は明王の事が……







―…10年経ってもずっと好きだったんだって」








これだけは揺るぎない事実なんだ






*

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