ピリオドマン (ページ3)

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丸「いえいえ、とりあえずここにこのまま長居するといらんのがまた湧いてきそうやから城までお連れしますよ、お姫様」

雛「姫を迎えに来るんやったら土足で上がってこんといて欲しいけどね」

ナチュラルに姫と呼ばれた男やけど、なぜか違和感はそれほどない

丸「もうこの部屋使わんからええやん」

雛「大家さんが困るやろ」

丸「ごめんって、あとで片付けしとくわ」

こんな暮らしをしてんのに色んなところに気を遣える人やってことが分かる
捕まえたゴキブリを手早くトランクに詰めた後、車に戻って俺、マル、その子の並びで座る
その子言うてもマルと同い年ってことは俺より年上やけど

雛「で、そこのイケメンくんは？」

丸「僕の手下、大倉たっちょん」

倉「忠義です」

雛「へぇー、たつくんかぁ」

倉「だからタダヨシやって」

丸「この人は信ちゃん、借金グセのある父親を持つ僕の中学の同級生、可愛いやろ？八重歯がチャームポイントやねん」

そういや中学生の時マルがいつも可愛い可愛い言うてる男の子の名前が信ちゃんやったな
あの子やったんか
一応チラッと顔を見ると歯を出してビーバーみたいな顔で真面目に俺を見てくる
めっちゃ八重歯やな

倉「この人結構変な人？」

丸「正解」

雛「しちゅれいやな」

丸「歯ぁしまいなさい」

どちらかといえば目の方が可愛いと思うんやけどなぁ

雛「ていうか結局あれだけ嫌って言ってたお父さんの仕事継いだんやな」

中学の時のマルは反抗期真っ只中というか、めちゃくちゃこの仕事を嫌ってたことは、はっきりと覚えてる
それでもこの仕事を継いだのは、自分のことを息子同然に可愛がってくれた会の人間への恩返しでもあるんやろう

丸「まぁね、たまには親孝行してやらんと、それに僕らは正義のヤクザやし」

雛「たつもあんまりヤクザっぽくないもんなぁ、パーカーやしジーパンやし、イケメンやのに勿体ない」

それにしても、いつのまに彼と俺はたつって呼ばれるほどの仲になったんやろか