ピリオドマン (ページ2)

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表札のところに入っている紙は黄色く色あせて、文字が書いてるのかさえ分からへん
何の躊躇もなく革靴を履いたままズカズカと廊下を進んでいくマル
玄関にはサイズの違う汚いスニーカーが、1足はきちんとかかとを揃えて、もう1足は脱ぎ捨てられたように乱雑に散らばってる

洗面所は経年劣化はあるものの、整理整頓されてて清潔感はあるから、厄介な借金取りに追われてるわりには意外とちゃんとした人が住んでるみたいや

観察してるうちにリビングの騒ぎ声が収まったから俺も土足でリビングに入らせてもらう
マルが床に転がった男を足で踏みつけてる
その奥には怯えた様子の薄っぺらい身体の男

丸「たっちょん、ロープ」

とりあえず男の手首をポケットに突っ込んでたロープでぐるぐる巻きにして足首も同じくぐるぐるに巻いておく

雛「あれ？まる…？」

Tシャツにハーフパンツで床に腰を抜かして転がってる男がマルの顔を見つめてる
マルが男の顔を見た瞬間パッと表情がヤクザモードから切り替わった

丸「え！信ちゃんやーん！」

急にテンションの上がったマルは男の背中を踏み越えて信ちゃんと呼ばれた小柄な男にぎゅうぎゅうと抱きつく
そのあだ名、どっかで聞いたことあるなぁ

雛「ちょお、まる、やめろってぇー」

さっきは気づかんかったけど思いのほかスタイル良いし顔が可愛らしい

それにしても部屋の中にはテレビもソファもない
畳の部屋に綺麗に畳まれた布団は中の綿が潰れたのか薄っぺらくなってしまってるし、フローリングの方に置かれてる机はプラスチックの折りたたみ出来そうなやつで下に敷かれた絨毯は色あせてる

丸「あいかわらず可愛いなぁー！同い年やと思われへんわぁー！」

え？あの人マルと同い年なん？
まぁそれを言えばマルだって若く見えるねんけど

雛「もぉ、でもありがとうな、助けてくれて」

マルのエスコートでその男が立ち上がると俺らよりは体格も身長もひとまわり以上小さい
動物に当てはめるならリスって感じやな