初恋とココア【黒羽快斗】

21 ページ22

.









「あのまま店にいたらお前お持ち帰りされてたぞ」



不貞腐れた顔で言う快斗にまさか、と笑うけどありえない話でもない。

白馬くんのあの巧みな言葉遣いと甘い声で私はきっと絆されていただろう。


考えるだけでぞわりとする背中に思わず真顔になる。



「ま、あいつには気を付けろよ」



眠そうに欠伸をしてシルクハットを脱ぐ快斗。

ふわふわの黒髪が中から顔を出した。


窓の奥で、まん丸い月が綺麗に淡く光っている。




──────私たち、付き合ってるの？



ふと、ずっと前から喉の奥でつっかえている言葉が頭をよぎった。


話が途切れた今、それを言うには最適だ。



言え、はやく言うのよA。


自分で自分を急かしても、今まで快斗以外にろくに恋愛をしてこなかった私の口はなかなか開かない。



じゃあこのまま言わなかったら？



………きっと、前みたいにすれ違って苦しむに違いない。


自問自答の末、溜めに溜めた私の声がするりと漏れた。



「……私たちって、付き合って、る……の…………」



快斗がいるはずの隣を見ると、かくんと首を曲げて目を閉じている横顔があった。


嘘でしょ。


寝るの早すぎ……



「私の勇気返してよ……ふふ」



自分でも怒ってるのか笑ってるのか分からない程ぐちゃぐちゃな感情。


そんなのどうでもいいくらい、隣の彼に愛おしさを感じた。



とりあえず快斗をソファに寝かせるため、彼の両腕を掴む。


流石に大人の男性を持ち上げるのは無理があるので、少しずつ引きずりながら移動させる。


鳩みたいな白い衣装が汚れてしまいそうで心配になるけど、風邪を引くよりだったらまだましだ。



なんとかソファまで移動させると、白い毛布をかけてあげる。


高校生の時よりも男らしく大きくなった体はやっぱり毛布から少しだけはみ出てしまった。









.

22→←20

ラッキーアイテム

トランプ銃

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーパートナー

黒羽快斗

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す