アンジュ・エ・デモン

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こっちのテーブルでは、騒がしいもう１つのテーブルを眺めながら桐山さんと中間さんがしっぽり飲んでた。

二人とも少し離れて私たちは座る。






「まぁ、座って座って。

あのさ、A彼氏できたやろ？」




「いやいや、いないけど…え、なんで？」



「んー、なんとなく最近雰囲気変わったなぁって思ったんと…


あ、あと最近弁当作り出したから、彼氏のために料理目覚めたんかなとか」



「あー…お弁当は深い理由全然無いよ。節約」







言えないよ。あなたのお友達の重岡くんに恐喝されて作ってるついでに作ってるなんて。






「なんや、そーなんやぁ。絶対男できたんかなって思ってたのに」



「残念ながら、出来てないんだなー」







だけどだけど！神ちゃん、私藤井さんの事頑張ってみても良いかな？


男目線でどう思うか聞いてみようかな？








「なになに、高橋さん彼氏出来たの？」



「そんなわけないですよ、大募集中です」



「勿体無いね、見る目ないわうちの男共は」








話を聞いてたらしい桐山さんと中間さんが入ってきて、３人でうんうん頷いでる。


そんな風に言うけど、3人とも私の事一切眼中にないじゃん。






なんて若干卑屈になりながらも、いっそ3パターンの意見を聞くために今こそ藤井さんについての相談を…







「神ちゃん、急に余興頼んでごめんな。大丈夫そう？シゲもだけど」



「全っ然大丈夫っすよ！任せてください」



「おぉ、頼もしい〜」







余興？あ、あれか。私が邪魔扱いされたピアノか。

今の言い方だと、神ちゃんと一緒にやるのかな。








「神ちゃんも、ピアノ弾くの…？」



「いや、俺はエレクトーン。

てか、何でピアノの事知ってるん？シゲから聞いた？」







はっ。しまった、そうきたか。

確かにいくら同じ社宅に住んでるとはいえ、ピアノを余興でする事を知ってるなんて不自然。






「あ、の、この前朝偶然出勤一緒になってね、ピアノうるさくない？って聞かれたの！」



「ふーん…あいつヘッドフォンつけて練習してる言うてたけどなー…」



「どっかからクレームきたからヘッドフォンつけたんじゃない？

ごめん、神ちゃん私そろそろ帰るね！お疲れ様でした！」



「おい、A送るで？駅まで」



「大丈夫！ごゆっくり、お構いなく！」







これ以上ボロを出したくなくて、逃げるみたいにお店から出た。

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