宝石箱 ページ39
「水族館ってさぁ…綺麗だよねー…」
北「うん。ずーっと眺めてられるよね」
陽も暮れ出して、ファミリー層が帰りだした水族館は少し落ち着きを取り戻してた。
くらげの水槽をぼんやり眺めながら、自分の気持ちを打ち明けるタイミングを探す。
時々、みっくんからの視線を感じることがある。
何か言いたげな、でも迷ってる感じ。
そーゆう目で見られると、イケるじゃないかって勘違いしそうになるんだよ…。
北「…ね、お願いがあるんだけど」
「え?何?」
北「…また、Aちゃんのご飯食べたい」
「え!?…あ、うん。ご飯なんかで良ければいつでも…」
北「今から」
えーーー!!何言ってるのこの子!!
いきなり来るつもり?
無理…いや、でもチャンス?
返事に困ってしまう。
でも、せっかくだもん。みっくんだって言うの勇気いったはず。
了承しよう…と思って口を開こうとしたら、先に遮られた。
北「いや、嘘!今の無し!」
「…へ?」
北「ごめん、変なこと言って。」
「あ…うん、今度ね!ほら家散らかってるから…冷蔵庫も空っぽだしっ」
北「あ…売店行く?」
「うん、行く行く!」
微妙な空気も売店のお魚グッズ可愛さで吹き飛ぶ。
いい大人だけど、実はこーゆうお土産やさんとか大好き。
ご当地キャラとか欲しくなっちゃうんだよね〜
「あ…綺麗…」
吸い寄せられるみたいに目に入った、クラゲのスノードーム。
北「どしたの?」
「ん?んーどの色にしようかな…」
北「買うの?」
「うん。可愛くない?土台の色がさぁ…」
何色にしようかな。迷ってじっと見てると、みっくんがひょいっと赤を手に取った。
北「そりゃ、赤でしょ。Aちゃんといえば、赤!」
「いや、でもスノードームだから…」
北「だめ。赤!買ってくる」
スタスタとレジへ行って、プレゼントしてくれた。
「ありがと。…嬉しい」
北「どーいたしまして!じゃ、何か食べに行こっか!」
「うん!」
宝石箱みたいなスノードームを握りしめて、みっくんの後を追いかけた。
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作者名:さくら | 作成日時:2015年11月4日 21時