第7話 ページ7
「それより、パパ忙しいんでしょ？」
「ああ。とってもな」
「本当に大丈夫だからね」
「そうか。それじゃあ、電話切るからな。パパはいつでも、お前達の事を愛しているよ」
「ボクもだよパパ。じゃあね」
ピ、という電子音で電話が途絶えた。キスの次は愛の言葉での締めくくりである。その甘ったるさにアリスのネックレスのリングから手を離したソニックはやれやれと頭を振る。クリスは照れ臭さに頬を染めたが、すぐにあっ、とある事に気付いた様子を見せた。
「それより、朝ごはんどうする？キミ、いつも何食べてるの？」
「こっちのハリネズミは、何食べてんだ？」
「ネットで調べたら、これだって」
『え、それってまさか』
クリスは執事が持ってきたトレイの上の小皿を手に取る。小皿に盛られた茶色い小粒の乾燥フードに顔を強ばらせるアリスを差し置き、ソニックは1粒手に取ると口へ運んだ。ひと噛み、ふた噛み……どんどん表情が歪んでいく。
「んげぇっ、何だコレ！」
「……キャットフード」
『やっぱり！？』
「No way！カンベンしてくれよ！」
クリスが申し訳なさげに言うとアリスが頭を抱え、ソニックは皿から顔を遠ざけ、どこまでネコ扱いすれば気が済むんだと吐き捨て舌を出した。ソニックの顔からして、主食がキャットフードなんてガラではない。かと言って何を食べるのかも知らないが。
「ハリネズミフードってのもあるらしいんだけど、キャットフードでもいいって。あと乾燥コオロギとか」
『む、虫！？ヤダヤダ、絶対ヤダ！』
半分申し訳なさそうなクリスの遠慮がちな口調に顔を青ざめさせるアリス。ソニックも同感のようで、キャットフードの皿を払い除けると手すりから近くの大木へと飛び移った。ニホンの“ニンジャ”さながらのその身のこなしは、相変わらず姉弟を驚かせる。
「ど、どこ行くのさ！？」
「生憎、オレはグルメなんでね」
「ダメだよ、外に出たらまずい！」
「See you ♪」
「あっ待って、待ってソニックー！！」
呑気に手なんか振ったりして、ソニックはあっさりとソーンダイク邸を出て行った。朝のニュースは“深夜突然現れた青いハリネズミ”、その行方についてで持ち切りだったのを知っているクリスが心配そうにもう見えなくなってしまった背中を見送る中、隣でぼんやりとソニックをアリスは、何気なく呟く。
『……こっちで食べ物買うお金、持ってるのかしら』
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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