第33話 ページ33
『クリス───ッ！』
ロボを操縦するエッグマンに必死に抵抗を続けるクリスに少しでも近づこうと、ビルの非常用階段を駆け登るアリス。その間何度躓こうが足を滑らせようが、息を切らしつつもすぐに体勢を立て直して上へ上へと登っていった。
「……あ、アイツ、足痛めてるんじゃないのかよ……！？」
ずっと彼女の尾行をしていたダンも、息を切らし汗を垂らしながら彼女を追いかけて階段を登っていく。持久力がないのか、5階の踊り場で倒れ込むと手首につけられた腕時計型の通信機を起動する。すぐスパイ仲間に繋がった。
「おい“ティーチャー”！弟の方の尾行は出来てるだろうな!?」
「勿論だ、車で追いかけてる。それよりどうしたお前、息荒いぞ！？」
「何でもねぇ！“オレ”は姉の方の尾行を続けるからな、じゃ！」
回線をブチ切ったダンが整えた髪をボサボサにし、済ました顔に汗をダラダラ垂らしながらヒーヒー言っている間に、アリスはやっと屋上まで辿り着く。見上げればクリスはエッグマンの髭にしがみついているが、その手を離せば交通量の多い道路へ真っ逆さまという危機的状況にいた。彼の手にはニュースで見た緑色の宝石。やはりカオスエメラルドなのか、とアリスは焦る心の中で察した。
『クリス！！聞こえる！？絶対その手離しちゃダメよ！！』
「お姉ちゃん……！！」
「コラ！！なーにが離しちゃダメよ〜だ！ワシの自慢のヒゲが千切れるじゃろうが！！というか誰じゃお前！！」
アリスはその声を聞いて初めて、クリスが掴む髭の持ち主……丸いサングラスの男を目にした。その卵のようなまん丸の体躯の男はこれでもかと無造作に伸ばした髭を引っ張られて痛い痛いと顔を顰めている。
『もしかして、アイツが……？』
刹那、背後で爆発音が響く。ソニックがメカを破壊し、地上へ降りていく。そこで彼女は悟った。
助けて、と懇願する弟の為なら何でもやってやる、そう思っていた。しかし飛び移ろうにも距離があるし、危険性も高い。何より足に限界が来ている。やっと自分の足がどれほどガタがきてるかを自覚したアリスは、迫り来る痛みと疲労にへたり込んでしまう。
この状況を打破するには悔しいが自分では無理だ。
……けれど、彼なら？
『──────ソニック！！』
彼女の口は無意識に彼を呼んでいた。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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