第27話 ページ27
「お姉ちゃん、大丈夫？」
『今度こそ大丈夫！ エラさん、行ってきまーす！』
「いってらっしゃい、お坊ちゃま、お嬢様」
数日後、無事車椅子生活から脱したアリスはクリスと共に元気に家を駆け出していった。エラもすっかり元気になったアリスの笑顔を見て嬉しそうに手を振り、2人を見送った。ソニックも定位置の屋根でそれを見送り、満足気に微笑んでいる。
「よかったね、予定より早く車椅子なくなって」
『ええ。まだ走っちゃダメって言われてるけどね』
「そっか。無理はしちゃダメだよ？」
『大丈夫よ。優しいわね、クリスは』
アリスに頭を撫でられて頬を染めるクリス。姉弟水入らずのその風景を、エミーとテイルスは屋根裏部屋の窓から見守っていた。
「クリスとアリスって、本当に仲良しよね」
「そうだね。喧嘩なんてした事ないんだろうな」
「アリスは、小さい時からクリスが大好きじゃったからなあ」
エミーとテイルスが、椅子に座るチャックを振り返る。その表情は笑顔だったが、どこか引っ掛かりを感じるようなものだった。
「アイツは立派な姉だ、一生懸命頑張っておる。いつも居ない親代わりになろうと、ずっと……な」
「チャック……？」
「いやいや、何でもないぞ！よーし、今日も今日とて研究じゃ！」
明るく振る舞ってみせたチャックがパソコンに熱中し始めるのを、エミーとテイルスは怪訝そうに見つめるのだった。
*
一方、クリスと別れたアリスは小学校から少し離れた大学構内に入ると、教室のざわつきに疑問を覚えた。人集りの中にはエリザやオスカー、サラが集まっている。
『おはよう皆、どうしたの？』
「おはようアリス。今日編入生が来るんですって」
「季節外れにも程があるよな」
「どっかで問題起こしたとかそんな奴じゃない？」
『まさか。でも編入生かあ』
アリスが不思議そうに呟いたと同時に、教室のドアが開く。教授が入ってくるまではいつも通りだったが、その後に続いた青年に、クラス内の視線は集まった。
「えー、静かに！今日からこの大学に編入学したダンくんだ。分からないことだらけだと思うから、積極的に教えてやってくれ」
ダン。そう呼ばれた青年は黒い髪に小麦色の肌、目鼻立ちがくっきりした所謂イケメンの部類の顔立ちだった。教授の言葉に女性の一部は元気に返事をする。アリス、エリザ、サラは例外であったが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
