第14話 ページ14
「まずいわね、エレベーターが全然上がってこないわ……」
『ならあそこから出ましょう、エリザ』
迫り来るロボットを前に、まだ大学に残っていた彼女らは脱出を先決した。
しかし、停電してしまったのかエレベーターのボタンを押してもうんともすんとも言わない。突然の緊急事態に頭を抱えるエリザの肩を、アリスは非常口を指さしながら叩いた。
「危険よアリス！揺れがすごいのに」
『でも、密室のエレベーターの方がもっと危険よ。ここだって壊されちゃうかもしれない』
「そうだけど……」
『それに教授や他の生徒もまだいるかもしれないし。急ぎましょう』
「……ええ、分かったわ」
アリスの真剣な眼差しに折れ、エリザが頷く。2人はどちらからともなく互いの手をしっかりと繋ぎ、出口へと走り出した。
＊
「きゃっ！？」
『エリザ！』
もう少しで1階、という所で揺れが一層激しくなり、その拍子にエリザは足を挫いて転んでしまった。階段もミシミシと嫌な音を立てている。
もしかしてロボットがこのビルに侵入してきたのか。微かに聞こえる機械音からそう察してしまったアリスは、焦りと恐怖で爆発してしまいそうな心臓の鼓動を必死に抑え、エリザを起き上がらせる。苦痛に顔を歪ませる彼女の足元を見れば、パンプスのハイヒールが無残に折れ、捻ったであろう足首が赤く腫れ上がっていた。
『エリザ、足……！大丈夫！？』
「へ、平気よ。少し挫いちゃっただけ」
『もう少しだけ頑張って、もうすぐ出口だか……うわっ！？』
アリスの言葉を遮り、もはや爆発音に近い音とともに大きな揺れが再び2人を襲った。エリザを守るように覆いかぶさったアリスは、上から落ちてくる砂の感触を首に受け咄嗟に顔を上げる。亀裂の入った天井からミシリ、と大きい音が聞こえた時には、アリスの身体は瞬発的に動いていた。
・
急に突き飛ばされて尻餅をついたエリザは、舞い上った砂埃に咳込む。それが晴れるのと同時に、先程まで隣にいた親友が隣にいない事に肝を冷やし、痛む足に鞭打って立ち上がった。前を見れば、上から降ってきたコンクリートの瓦礫。そこから見えたのは見慣れた少女が両足を潰され、うつ伏せになった姿だった。
『いたた……』
「アリス……！すぐそれ退かすから！」
『ダメよ、まだ上には瓦礫が！早く逃げ、』
ごつり。
何かがぶつかったような重く鈍い音に、アリスの言葉は遮られた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
