第12話 ページ12
「オスカー。返してあげて、それはアリスのパソコンなのよ」
「おー、“マドンナ”のエリザさんはガキンチョにも優しいんだな」
「その呼び方はやめて。それに、アリスにどう接しようがアタシの勝手でしょう？アナタこそ人のやる事なす事に口出し過ぎ。“ガキ”はどっち？」
「っ……ケッ、こんなの元から要らねえよ！」
窘めるような静かな声色だが、冷めた目付きで見据えるエリザ。視線に射すくめられ、オスカーはバツが悪そうに舌打ちすると、アリスにパソコンを押し付けるようにして返してサラと共にどこかへ行ってしまった。
「大丈夫？アリス」
『うん……いつもありがとう、エリザ』
「いいのよ。さあ、授業は終わりだし早く帰りましょ！今日はショッピング行くんでしょ？」
背に隠していたアリスへ振り返りウインクを送るエリザ。モデル誌からそのまま出てきたような美女のウインクは、誰よりも輝いて見えた。
＊
アリス･ソーンダイク。飛び級にて15歳での大学入学を果たした、所謂秀才と呼ばれる部類の人間である。
高校の授業を履修したとしても入学試験は難関を極めるこの大学では、飛び級での入学はアリスが初めてであり、メディアでは一時話題となった。彼女が大企業の社長ネルソン、大人気女優リンゼーの娘であるということも、その話題を大きく盛り上がらせた。
しかし大学で待っていたのは、暖かい世間の反応とは裏腹な生徒達の冷たい視線。所詮年下だ、とどこか嘗めたような、そしてすぐに学年トップに上り詰めたアリスに対して何でこんなガキが、という嫉妬の視線は新しい学校生活に胸を膨らませていたアリスの心を傷付けていった。
そんな中彼女を救ってくれたのがエリザだった。その美しい容姿と人柄から“マドンナ”と囃し立てられ、キャンバス内でも絶大な人気を誇っていたが、周りの声を振り切り1人きりのアリスに最初に声をかけたのだった。
それが彼女の取り巻きを多少散らす事となってしまっても嫌な顔ひとつせず、｢アナタのお陰で少し静かになったわ｣と綺麗に笑ってみせた。そんな“大人”なエリザは、アリスにとっての憧れそのものである。
「そうそう！さっき青と黄色のカラーリングの飛行機を見たのよ。運転手はきっとイケメンよね……アリス？」
『あ、うんっ！聞いてる聞いてる！』
首を傾げるエリザに、アリスは屈託のない笑顔で答えたのだった。
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A - すごく素敵な作品でとても続きが気になります！続編もお願いしますっ！ (2022年4月24日 22時) (
レス) id: 1c577920f9 (このIDを非表示/違反報告)
憂象 - めちゃくちゃ面白いですね！！！！再度ハマるきっかけになりました！！ありがとうございます！！！(><＠) (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 63f42a208b (このIDを非表示/違反報告)
にーご - すごく面白いです！続編も期待しています(●´▽`●) (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1e32eaca6c (このIDを非表示/違反報告)
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