俺様、何様、登坂様 (ページ11)

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切ないページ11

「…」

手に取って読みたくもないのに心の中で読み上げる私。

心臓がきゅうっと痛むのがわかった。

噂で聞いていた、臣がべた惚れだった元カノジョ。

美人で、可愛いくて、スタイルが良くて、天然。おまけに性格がすごく良い。

たまに話に出てくるとは嫉妬心が芽生えていた。

そんな彼女からの臣に対する愛情。

見せたくない、そんな事を思った時だった。

「お前さぼんなよ、手が止まって…何それ」

大人しく臣に渡す。こんなの見たら、心が戻ってしまうんじゃないか。

「…あいつこんなの書いてたんだ。知らなかった。」

そのあとは、見ていない。

私は何も言わず、何も見なかったことにして臣から背を向けた。
そのメッセージを臣がどう受け取ったのかはわからない。

私は「捨てて」と喉からでかかった言葉を飲み込んだ。

だって、そのメッセージを見た瞬間、臣は驚いたあと、愛しいような、切ないようななんともいえない表情をしたから。

言えない。

切ない。

５年も付き合っているのに、こんなことで劣等感を感じるのは、自分に自信が無いからかな。

心臓の痛みに耐えながら、動かす手を止めなかった。

「ばーか、お前だけに決まってるだろ」っていつものように機嫌をとってくれたらいいのに。

そんな思いも虚しく、その日はそのことについて臣から何も触れられなかった。

そして私も何も言わなかった。

切ない。