瞬き ページ35
時間の流れは早い。
日々の仕事に追われ、気付いたら、
桜の木から花は散り、青葉が色褪せ枯葉となって舞う季節になっていた。
.
やるべきことに追われている時間は心の隙間を埋めてくれる。
翌日出演予定の生放送のトーク番組のリハが終わり、次は雑誌の撮影。
スタジオに移動してヘアメイクを終わらせると、やっと息つく間ができた。
「高梨さん、明日のリハ、あれでOKでした?」
鏡越しに背後の椅子に座る高梨さんに話しかけたけれど、高梨さんは厳しい顔つきで俯いたまま。
「高梨さん?」
もう一度声を掛けると、気づいたらしくハッとした顔で俺を見た。
「ごめんなさいね、ちょっと考え事をしてて…。
リハなら完璧だったわ!明日も同じようにお願い」
取り繕った笑顔で何度もうなづく姿に違和感を覚える。
最近、ずっとこんな感じだ。
高梨さんらしくない些細なミスを連発する。
一体どうしたんだろう。
.
全ての仕事を終えた帰りの車の中。
「明日は8時に迎えにいくからよろしくね」
「はい」
運転する高梨さんの背中を見つめた。
「高梨さん、なんかありました?」
「どうして?」
「最近、様子が変わってるなーと思って」
「…そう?」
「いや、俺の思い違いならそれに越したことはないんですけど」
触れて欲しくない雰囲気を感じ取って、
話を切り上げようとした。
けれど、
「あのね…」
高梨さんは言葉を続けた。
「なんですか?」
「彼女、地元に戻ったそうよ」
一瞬、聞き取れなかった。
「え?」
「結婚はしなかったって…」
しなかった、という否定語の後に結婚という単語が入ってきて、
途端に脳内が混乱しはじめる。
「……A…のこと…ですか?」
聞かなくても分かっていたのに、聞き返してしまったのは、確証が欲しかったから。
「…えぇ」
「…どうして、そのことを?」
「教えてくれた人がいてね…」
こんなこと、誰が教えてくれるって言うんだろう。
Aが、言うだろうか。
いや、言わない。
だとしたら……
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愛 - 続きはまだでしょうか?急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです!更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです!更新頑張ってください!! (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピナパル | 作成日時:2018年10月22日 8時