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21歳の君。46 ページ39

小さな箱の中には、





小学生の紫耀くんにもらった綺麗な色の石、

中学生の紫耀くんにもらった制服のボタン、

高校生の紫耀くんに初めてもらった花束の中にあったバラのドライフラワーが入っていた。




箱の下にあったのはスクラップブック。


紫耀くんの1番のファンでいると決めたときから集めてた雑誌の切り抜き。

最初は、証明写真みたいに小さな写真ばっかりだったのに、だんだん写真が大きくなっていって、数も増えていって、雑誌買うお金が足りなくなって、やめちゃったやつだ。

幼い顔から、大人の顔立ちになっていく紫耀くん。





全部の顔を、知ってる。






『A!俺!芸能人になる!』


通学路で、私を呼び止めて夢を教えてくれたときも、

『俺が好きなのはAだよ』


トンネルの中でキスをされたときも、


『Aより素敵な子なんていないよ』


誰もいない駅で待ってくれていたときも、


『愛してる』


一生忘れられない初めての夜のときも、


温もりに包まれて過ごしてきたこの3年間も、




ずっと、一緒に生きてきた。





『結婚しよう』






私の生きてきた、大切な思い出の全部に、紫耀くんがいる。




だけど、

これからは、もういない…




「………っ!」




涙なんてとっくに涸れてしまったと思っていたのに、声にならない嗚咽とともに溢れて、

この2週間、眠れずに、考えに考えて出した決心が揺らぎそうになる。









本当は話したい。一緒に考えたい。




でも、もしそれで、私を選ぶと言ってくれたら…?





そしたら、紫耀くんの夢は失われてしまう。

紫耀くんだけじゃない。

紫耀くんを好きだと言ってくれた高梨さんや、紫耀くんに関わるすべての人に迷惑をかけてしまう。

そんなことしたら、紫耀くんの人生にキズがついてしまう…






…これでいいんだ…







涙を拭こうとして、薬指に光る指輪が目に入った。





見るたびに、勇気をもらってた指輪。

けど、いまは、見るたびに、紫耀くんへの想いが溢れかえる。









…もう決めたの。





指輪を外すと、箱に入れて急いで封をした。



…これ以上決心がブレる前に。









.








.








すべての段ボールを片付け終わって、休憩していると、インターホンが鳴った。




…誰だろ?紫耀くん以外には教えてないのに…





立ち上がって、モニターを見ると、息を飲んだ。




どうして…?







「永瀬くん…」

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ピナパル(プロフ) - くりんさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年6月24日 0時) (レス) id: 13c9717e47 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2017年5月22日 10時

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