ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ25)

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光と陰ー高梨ページ25

「…どちらさまでしょうか？」

インターホンから聞こえる弱々しい声。

「初めまして。紫耀のマネージャーをしている高梨と申します。…お話できるでしょうか？」

そう伝えると、オートロックは開けられた。

玄関のドアが開いて現れたのは、

少し小柄で、化粧気のない、素朴な女性。

なにも飾る必要がないほど可愛らしい顔立ちで、人柄の良さが滲み出てる。

「突然押しかけてごめんなさいね」

リビングに通され、机を挟んで向かい合わせに座ると座ろうとしない彼女。

「いえ……あの…お茶を…」

「あ、気を遣ってもらわなくて大丈夫だから。

…安永Aさん…よね？座って？」

名前を呼ぶと、驚いた顔をして、おずおずと座った。
顔色が悪く、肩が震えている。

「このたびは、、ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした、、」

床に頭がつきそうなほど、頭を下げる姿に、胸が痛む。

彼女は、なにも悪くない。
ただ、１人の女性として、紫耀を愛し、一緒にいただけなのに、、。

ふと、彼女の背後にある、写真立てが目に入った。

微笑んでいる彼女に寄り添う紫耀。

私に見せる笑顔とはまったく違う、すべての重圧から解放されたように無邪気な表情。
紫耀にとって、彼女がどれほど大きな存在なのか、その写真を見ただけで、すぐに理解できた。

「お願い。顔を上げて？」

言われてから、ようやく顔を上げた彼女の瞳は潤んでいた。

…どれだけ、自分を責めたんだろう。

「こちらこそ、迷惑をかけてごめんなさい。

…驚いたわ。まさか、同じマンションに彼女を住まわせてただなんて。

まさに灯台下暗しってやつね」

冗談めかして言ったものの、
彼女はなにも言わずに唇を噛み締めた。

「……これまで付き合ってくるの、
大変だったでしょう？」

「いえ……」

服を握る彼女の左手の薬指に光る指輪。
私の視線に気付くと、サッと隠される。

「いいのよ。私は、交際に反対してるわけじゃないから。

あなたがいたから、紫耀はこれまで頑張れたんだろうし。」

そう。紫耀が光なら、彼女は陰になって、ずっと紫耀を支え続けてくれていた。
放たれる光が強ければ強いほど、陰は暗くなる。

６年間も、マネージャーの私ですらわからなかった２人の関係。。

バレないために、強いられる我慢も多かったはず。

普通なら、彼氏と堂々と外を歩きたい年頃だろうに………。

潤んだ瞳で私を見つめる、この健気な彼女が愛おしく感じ始めていた。