ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ22)

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呼び出し３ページ22

「それは、、僕が、、朝比奈さんを裏切ったからですか？」

「あなたは、コウの役に合ってないからよ。

コウは、すべてを失い、絶望している青年の役なのよ？

芸能界での成功も、愛する人との未来も手に入れているあなたに演じられるとはとても思えない」

……確かに、実際の俺と、役柄は全然違う。
けど、それはみんな同じこと…

この人は、演技と現実を混同してしまってるんだ…。

「それは、その通りかもしれません…けど、頑張ります！唯一無二の役者として認められるために、演じきるって、決めたんです」

「唯一無二の役者？認められるため？」

朝比奈さんの声色が変わる。

「この作品は、あなたの踏み台になるためのものじゃないわ。
どういうつもりで認められたいのか知らないけれど、
欲しいものをすべて手に入れて、その上、唯一無二になりたいなんて願いが叶うほど、この世界は甘くないのよ」

冷たい低い声。さっきまでの朝比奈さんが嘘みたいだ。

やらかした…。

安易な一言で、、逆鱗に、触れてしまった。

「家族、友達、愛する人、、私は、すべてを捨ててここまで来たの。

プライバシーもない、自分の意思も通らないこの世界で、

なにかひとつでも捨てる覚悟のないあなたが、頂点に立てるはずがない」

言い放たれた言葉に、言い返すことができない。

少しでも早く、Aと一緒になるために抱いていた夢は、いとも簡単に全否定されてしまった。

掃いて捨てる人間なんていくらでもいる、芸能界の真実を、痛いほど知っている朝比奈さんの言葉が、胸に突き刺さった。

俺はなんて…甘い考えだったんだろう…。

…それでも…

「…僕は…共演を諦めたくないです」

どうにかして振り絞った言葉。

スキャンダルが原因で、マスコミ発表されてしまった映画を降板することになったら、評判は地に落ちてしまう。

せっかく積み上げてきたものが、一気に崩れ去ってしまうどころか、もっと悪い状況になるかも。。

それだけは…どうかそれだけは…

震える手で、拳を握った。

「あなたの気持ちも分からなくはない。。

ひとつだけ、条件を飲めるなら、共演者として認めてあげてもいいわ」

フッと、再び微笑んだ朝比奈さん。

「今ある幸せを捨てるの。

…彼女と別れなさい」

ニッコリと微笑むその姿が、悪魔のようにしか見えなかった。