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銀ノ魂篇/巡り巡ってまたそこに ページ7

走りながら、山崎の報告は続く。


「倒れているのは、町民に身をやつした奈落とおぼしき連中のみ。目撃情報にもあった2人の浪人と1人の少女の仕業だと思われます」

「2人の浪人と1人の少女……」


2人の浪人ってのは、間違いない。坂田銀時と高杉晋助だ。
だが少女は……。

思い当たる奴は居る。でも信じられなかった。
土方は信じたくなかった。Aも、黒幕の1人かもしれないという事を。





☆☆☆☆☆





「ヘッ」


人数差をものともしない戦いを繰り広げていた銀時は、舟の上でそう笑った。彼の後ろには反対方向を向く晋助が居て、Aは少し離れた所の舟で1人戦い続けている。

真選組で戦っている頃に戻ったかの様な表情で愉しそうに戦う妹を見ながら、銀時は言う。


「お互いヤキが回ったもんだな。本来戦場じゃ、背中ってのは最も信頼のおける仲間に預けるもんだが」


ふと兄達の方を向いた満月色が細められた。戻ってきてくれたんだなと、改めて思う。

晋助と銀時が背中合わせになっている光景を見て、Aは嬉しくなった。


「巡り巡って今じゃ、この世で最も信の置けねェアブねェ野郎しか妹の他には立っていねェとはよォ」

「安心しろよ銀時。俺ならいつでも振り向く覚悟はできてるぜ」


向かってきた敵を斬りながら、晋助は言う。

Aは勝手に自分について来ただけだった。無理に離さなかったのは事実だが、銀時は違う。彼女とは。


「そう思える(あいて)じゃなければ、今迄1人で動いてた野郎が誰かを巻き込むようなマネしねェだろ。てめェなら俺の都合で殺しても構わねェ、そんな勝手が通せる相手だからこそ、俺もお前も背中(ここ)に立ってるんじゃねェのかよ」


銀時は何も言わなかった。ただ肯定する様に、その口元は弧を描いていた。


「だが、そろそろだぜ」


それまで軽快に戦っていたAの動きが止まった。岸に目を向け一瞬だけ懐かしむ様に目を細めた後、また敵を斬る。


「余計な邪魔が入らねェように市街に奈落(やつら)の死体をバラまき人を遠ざけといたが、うるせェ警察(いぬども)が嗅ぎつけてくる頃だ」


岸には土方達が到着していた。晋助と銀時の姿を捉えて見開いた目が、Aを見つけて更に瞠られる。
ただ、元気そうな姿に安堵したのも事実だった。

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いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
- 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 赤崎千夏さんとかはどうですか……?低い声が出るかどうかは分かりませんが (2021年8月31日 18時) (レス) id: 28ef16fbca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時

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