銀ノ魂篇/黒幕共 ページ4
ぶはぁ、と川から顔を出した銀時は、積まれていた爆弾で壊れた舟の木片にしがみつく。辺りには、爆弾によって倒れた男達が浮かんでいた。
ただ1人、身体から血を噴き出して現在進行形で川に落ちた者の居るのが見えて、銀時はその方をジッと見る。一艘の舟がゆっくりと彼に近付いてきていた。
それに乗る人物達へ、銀時はどこか皮肉な笑みを浮かべる。
「よォ、黒幕共」
高杉晋助と吉田Aは、まるで自らが仕掛けた爆弾の被害など見えていないかの様に、ただ銀時のみを見ていた。
「黒幕らしく高みの見物でも決めこみにきたか、にしちゃあ随分低いな。可愛いお姉さんならそれでも良いが……高下駄でも履いたらどうだ、低杉くん」
「ヘッ、俺達が黒幕ならこんな下手は打たねェよ。白夜叉はともかく、高杉晋助と吉田Aを敵に回すようなマネはな」
それはつまり、巷での噂は間違いだった事を示していた。
最近頻発しているテロには少なくとも、2人は関係無い。
「手を貸してくれと頼んだ覚えはねェよ」
「ああ。どっかのバカが溺れて泣き叫んでたが、応えるつもりはねェよ」
「銀ちゃんまだカナヅチなんだね……」
呆れた様にAが呟く。
晋助が右手を銀時に差し出した。
「懐にあるもん、そいつをよこしな。まさかてめェがそいつを持っていたとはな、食えねェ野郎だ。道理で奴等が必死になるはずだ」
「銀ちゃん、江戸に帰りなよ。皆待ってるんじゃない?」
「……ソイツをAが言うとはな。さっきマヨに会ったが、随分心配してたぜ。沖田君もじゃねェの?」
2人の名前を聞いて、Aの顔が一瞬曇る。でもすぐに、澄ました表情に戻った。
晋助はAから視線を外すと、また銀時に目をやる。
「そいつを持ってる限りお前は、いつまでもどこまでも追われるぞ。くたばるまで逃げ続けるつもりか。その呪いを、ただの人間が背負えるとでも。言ったはずだ、こっからは亡霊の領分だと。そいつはてめェの手に負える代物じゃ」
「晋助様ァァァァ!!」
また子の声だった。岸から晋助の姿を見付けて、必死で叫んでいる。
「……同じ事をアイツらに言ってやったらどうだ。ついてくるなでも、もう忘れろでもいい。それで止まる奴なら、ここまで来ちゃいねェだろうがな。それとも未練タラタラなのは、あっちじゃなくてお前の方だったか」
何も言わない晋助に、皮肉な笑みを浮かべて言う。
「そんなザマでやっていけるのかねェ」
彼は2人の乗る舟に轢かれた。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時